目標は「休息を公平にすること」

目標は仕事を平等にするのではなく、休息を公平にすることなのです。片方のパートナーが家にいることでこの対立を避けられると考えている人は、この対立に最も巻き込まれやすい人だともいえます。

炭鉱労働者と専業主婦を考えてみてください。炭鉱労働の1時間は子育ての1時間よりたいへんだと二人が納得したとします。だから、難しくない仕事をしているパートナーが家族のケアタスクのすべてを担うべきと考えます。このとき、この図式は平等のように見えます。それでは何が問題なのでしょうか?

問題は、このような家族の多くで、炭鉱労働者は午後5時に仕事を終えて、週2回の休暇があるということです。一週間分の仕事を終えたのだから、週末寝過ごし、自分の時間を使ってレクリエーションを楽しみ、やりたいことをやっても問題を感じません。一方で、「簡単な」仕事をしているパートナーは、このような休暇が組み込まれてはいないのです。

炭鉱労働者と専業主婦の親は、どちらがより働いているのか、怒り心頭に発するまで激論をかわすでしょう。2人とも疲れているのが真実です。2人とも、それぞれの仕事について、感謝してほしいのです。そして2人とも、休息を取る必要があります。そうです。あなたが「楽な」仕事をしているといっても、休息は必要なんです。

家族の労働の比較。パートナーAは石炭の採掘、パートナーBはケアタスク。KC・デイビス『家がぐちゃぐちゃでいつも余裕がないあなたでも片づく方法』(SBクリエイティブ)より
イラスト=Lydia Ellen Greaves
家族の労働の比較。パートナーAは石炭の採掘、パートナーBはケアタスク。KC・デイビス『家がぐちゃぐちゃでいつも余裕がないあなたでも片づく方法』(SBクリエイティブ)より

ケアタスクの仕事は有給の仕事とは違う

ケアタスクの仕事は本来、有給の仕事とは異なります。難しいとか、簡単だとか、そんなことではありません。違うのです。ケアタスクは繰り返され、終わりがないもの。特に子育てにおいては、すべてが「完了」して、退勤はできません。あなたが想像できる限り、最も「楽」な仕事を思い浮かべてみてください。そして自分自身に、その最も楽な仕事を、一日16時間、一年365日、夜間のオンコールの待機をしつつやってみると想像してください。これをして健康でいられる人はいません。

休息を公平にするために、何を話し始めたらいいでしょうか?

まずは、互いの仕事の価値を言い合うのではなく、互いを思いやり、そして「どうやったら2人とも休息を取ることができるのだろう?」と考えてみてください。この会話には誰が家事をするかについても含まれますが、それ以外でも、多くのことが関係してくるはずです。

どちらの仕事が「大変」で、「より儲かる」かはさておき、炭鉱労働者もケアタスクや子育ての一部を担い、パートナーが一週間の中で休息を取り、気晴らしができるようにする必要があります。

本当のパートナーはこれを望みます。給料や就労時間をベースにして考え、パートナーよりも休息を取る権利があると考えようとはしません。これは敵対者から自分の休息を守る必要がある取引ではありません。これは互いの幸せを大事にするパートナーシップの話なのです。

この目標は棒グラフで比較するものではなく、折れ線グラフのほうが適切です。2人が協力して休息を取り、そして人生を楽しみ、季節が変わったとしてもそれが公平であり続けるためのものなのです。

休息のチャート。時間が経つにつれ公平になる。
イラスト=Lydia Ellen Greaves
休息のチャート。時間が経つにつれ公平になる。KC・デイビス『家がぐちゃぐちゃでいつも余裕がないあなたでも片づく方法』(SBクリエイティブ)より