【ドバイ】石油の次に女性の力を

同じイスラム教国家であるが人口の約9割が外国からの投資家労働者で、「エミラティ」と呼ばれるアラブ系自国民は約1割しかいない特殊な環境なのが、この50年で急成長した砂漠の中の未来都市ドバイ。20年から21年で同指数の順位を48も上げたアラブ首長国連邦(UAE)にある。公的分野では労働者の女性比率が66%と過半数を占め、管理職の比率も30%を超えている。ただし「活躍は外資系企業の外国人女性が大半であり、今後の課題はエミラティの女性たちの活躍」と、ジェトロ・ドバイ事務所次長、吉村優美子さん。

Dubai/ドバイ(アラブ首長国連邦)

「エミラティの家庭は保守的な家も多く、女性は早くに結婚・出産して家のために尽くすものだという思想も根強い。民間企業でエミラティ女性はほぼ見ず、政府機関や政府系企業で海外留学から帰国した王族や富裕層の子女のみが活躍しています」

これまでは豊富な石油収入を元手とした政府からの支援や外資系企業のスポンサー収入などで潤沢な不労所得で生活できたエミラティが多かった。しかし、政府は今後の経済や産業の変化を懸念。自国民の労働力をもっと活かそうと、エンパワーメント政策へとシフトした。女性活躍もその大きな柱の1つ。

「女性たちは、働けば経済的自由が得られ、結婚するかどうかも自分で選べると、自己実現の手段として高い期待を持っています。高学歴で英語も使いこなす女性が多く、メイドを雇うのも一般的。今後はもっと増えていきそうですね」(吉村さん)

宗教上の理由で金・土曜が休みだったUAEだが、22年から土・日曜休みに変更。22年2月には労働法が改正。産休が45日から60日に延長され、世界標準の働き方、そして女性活躍へと動きだしている。