介護脱毛をする必要はあるのか。茨城県介護福祉士会副会長・伊藤浩一さんは「介護現場において介護脱毛が必要だとは感じていません。『アンダーヘア』をどうしたいかは、あくまでも本人の考え。処理したければしてもいいのですが、本来、あってしかるべき体毛なので、介護者はアンダーヘアがあるのが基本と考えて排泄ケアなどを行っています」という——。
サングラスをかけたノンバイナリーの若者
写真=iStock.com/Lemon Photo
※写真はイメージです

「介護脱毛」は本当に必要なのか

最近新たな脱毛マーケットとして注目されているのが、中高年の「介護脱毛」だ。介護脱毛とは、将来、自分が寝たきりになって介護してもらうときに備えて、介護者に負担をかけないようにあらかじめアンダーヘアを脱毛しておくというもの。「介護脱毛」というキーワードでインターネット検索をすると、脱毛クリニックや美容皮膚科などが、そのメリット・デメリットを語っており、認知が急速に広がっていることがうかがえる。

では、本当に介護現場では「介護脱毛」のニーズがあるのだろうか。茨城県介護福祉士会副会長・伊藤浩一さんは、「介護現場において介護脱毛が必要だとは感じていない」と明言する。

「介護脱毛の対象である『アンダーヘア』をどうしたいかは、あくまでも本人の考え。もちろん、処理したければしてもらってもいいのですが、本来、あってしかるべき体毛なので、介護者はアンダーヘアがあるのが基本と考えて排泄ケアなどを行っています」(伊藤さん)

伊藤さんによると、介護脱毛をしなくても、現場では問題なくケアできるような仕組みやスキルがあるという。「逆に、“介護脱毛は介護してくれる人に迷惑をかけないための常識”という誤った情報が拡散していることのほうが問題。脱毛にはお金と手間がかかるため、誰もができることではないはずです。将来の介護に対して、そのような不安を感じる必要はないことをぜひ知っていただきたいですね」(伊藤さん)