チーム全体が、あうんの呼吸で仕事を進めているときに、水をさすのが“困った人”。高圧的に命令したり、説明してもうまく伝わらなかったり。そんな困った人たちと上手に付き合うコツを、産業医・精神科医の井上智介先生に聞いた。
怒ったアジアの若い女性の概念。
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相手を変えるのは無理。自分の関わり方を変える

どこの職場にも“困った人”はいます。どんな相手も対応は大変ですが、まず知っておいてほしいのは、相手を変えることは無理だということ。自分が相手との関わり方を変えていくしかありません。そこで最初にすべきことは「物理的に距離をとること」です。急に距離をとるのは難しいとしても、本人と直接関わらずにすむ方法を見つけましょう。そのうえで自分の受けとり方をどう変えるかということです。

さらに、わざわざ仲良くなろうとする必要もありません。会社というのはひとつのコミュニティーなので、合う人も合わない人もいるのが当たり前。それをなくそうとすると逆にしんどくなるので、いかに自分がストレスを感じずに振る舞えるかが、長く働くうえで大事なことになります。

困った人への関わり方のPoint

1 物理的な距離をとる

究極は異動願いを出すことですが、それまでに少しずつ離れるステップを踏んでいきましょう。たとえば指示系統を変えて、誰かに間に入ってもらい、直接関わらないようにする、在宅ワークを入れて会う機会を減らす、面と向かって話すのではなくメールでやりとりするといったことです。

2 受けとり方を変える

高圧的な人には心の中で腹いせする、コミュニケーションがとれない人には期待しないようにする……。相手は変わらないので、こちら側の受けとり方を変えます。ただ期待は自分の価値観からくるものなので、果たしてそれが正しいかどうか、自分を見直すきっかけにもなります。

3 無理に仲良くしようとしない

最初に苦手意識を持つと、それを塗り替えることはできません。警戒心というのは、人間の生存本能のようなもので、それを解くことはなかなか難しいのです。ですから警戒心を持った中で仲良くしようとするのは、大きなストレスがかかることなので、無理に仲良くする必要はありません。