会社を牛耳る男性のネットワーク

女性が陥りやすい被害者意識のために、女性同士がつながり合うのが難しいのだろうか。

お茶の一件もそうだが、窪田さんがなぜ女性は女性同士でつながれないのかと考えずにいられないのは、社内には男性による強力なネットワークが存在していたからだ。

会社を牛耳る、暗黙の「オールドボーイズネットワーク」の存在こそ、弊害以外の何者でもないと窪田さんは認識する。

「学閥から始まったと思うのですが、お昼に同じ店での食事の時とか、タバコを吸う人同士とか、ゴルフ仲間、麻雀仲間などで会社の決定が行われる。海外出張は、特にそう。そこに行った人だけで話して会社の方針をどんどん決めていく。会議など、全部出来レースで、全て結論は決まっちゃっているんです。その人たちの都合のいいように」

会議室で立ち話をする二人の男性
写真=iStock.com/Robert Daly
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一番やってはいけないのは、メンツをつぶすこと

ある時、事件が起きた。当時、女性の役職者が3人いたが、当然、オールドボーイズネットワークのメンバーではない。

「会議でメンツを潰すということが、一番やってはいけないことでした。会議で役員がこの商品を取り扱いたいと提案した時に、部長である女性が『何億円もかかるので、今の時期に許可できません』と言ってしまった。でもそれは、オールドボーイズネットワークでは実施が決まっていたことなのです。なのに、女性は強硬に反対を表明して、その役員が激怒したんです。翌日、その女性はいきなり役職を外されました。それだけではありません。それからほどなく、残りの2人も含めて女性の役職者全員が役職を外されたんです」

オールドボーイズネットワークに従わない者への、見せしめだった。こうして社内は震え上がる。

「ネットワークのトップの人たちは仕事ができるというより、ネットワークを利用して下の人間にやらせて、手柄を横取りして業績を上げる。慕われているのではなく、恐怖で支配するんです。言うことを聞かないと、好きな部署にいられないぞと」