料理研究家の村上祥子さんは84歳。日々新たなレシピを考案しながら、今なお精力的に全国を飛び回り、活動を続けている。幼い頃から料理と向き合ってきた村上さんは「人生100年時代、最後まで自分で食べることが大事」という――。

本稿は、村上祥子『84歳。食べて、歩いて、カッコよく生きる』(プレジデント社)の一部と、2024年のインタビューを再編集したものです。

村上祥子さん
撮影=田子芙蓉

84歳の華奢な体に秘められたエネルギー

「たまねぎ氷®」「バナナ酢®」「にんたまジャム®」……。これらはすべて料理研究家・村上祥子さんが、体の不調に悩む人の声を聞き、栄養学の観点から考案して商標登録したもの。村上さんのモットーは「ちゃんと食べて、ちゃんと生きる」だ。

「100年も生きなきゃいけないんだから、ちゃんと食べなきゃだめよね。最後まで自分で食べることが大事なのよ」と、穏やかながらも力説する。村上さん自身の元気の秘訣は、やはり“食”なのだろう。

1942年、福岡県北九州市で村上さんは生まれた。生家は、廻船問屋で財を成した祖父のおかげで裕福な暮らしをしており、戦争前、日々の食事は、ねえややばあやがつくっていた。

「母はお手伝いさんへの指示の出し方は上手だったけど、料理はできない人だったの。だから、私はお手伝いさんの仕事を見ながら、いろんなことを覚えたの。『嬢ちゃん、今からサバをさばきますよ。ほら、キモが出てきたでしょ。今日は刺し身にできるぐらいイキのよいサバだから、ここはシメサバに、キモは甘塩っぱく炊きましょうね』って。料理に興味をもったのはお手伝いさんのおかげね」

長じて大学の家政学部に進学したのも、幼いころに料理の楽しさを知ったことが大きかった。しかし、大学は料理を学ぶ場所ではなく、村上さんの好奇心を満たしてくれることはなかった。そして大学を卒業してすぐに結婚し、専業主婦に。

「新婚でも、料理は40代熟練主婦ぐらいの腕前だったのよ」