女性が生理や性欲について話すことが普通になってきた。漫画家の田房永子さんは「10代の頃から、男性が大っぴらに性欲や自慰について話すことが許されている一方で、女性にはタブーになっていることに疑問を感じていました。しかし最近、女性芸能人が生理やマスターベーションについて普通に話す様子を目にするようになって、時代の変化を感じます」という――。
テレビを見る女性
写真=iStock.com/PhotoTalk
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衝撃だった2000年の「江角事変」

ここ数年で、女性の芸能人が生理の仕組みについて話したり、自身のマスターベーションに関する話をテレビやラジオやYouTubeで聞けるようになって本当に……時代って変わるんだ! と毎度感動してます。

1990年代、私が中高生の頃は、生理について真面目に話してるテレビなんて見た記憶がありません。

女性芸能人が自分のマスターベーションを語るなんて更にもってのほか。お色気番組の「ギルガメッシュないと」や「トゥナイト」だったらあったかもしれない。あったとしても、男性のためのエロの世界に登場する、“記号としてのエッチな女性”が甘ったるい口調で話す、みたいな感じだと思います。

しかし2000年、事変が起こります。当時、女優としてもバラエティの司会者としても毎日のようにテレビに出ていた江角マキコさんが、フジテレビの番組で「誰でもオナニーをしている」と発言しました。それだけで大騒ぎになりました。

テレビで女性がセックスの話をするのはあった(小森のおばちゃまが「ごきげんよう」で初体験の話をするなど)。だけど「江角マキコがオナニーって言った……自分もオナニーをしていると暗に言った……」と語り継がれるほど、“エッチな雰囲気を演出してない状態の女性”が普通のトーンでテレビでマスターベーションの話をするなんてことは本当にあり得ないことでした。

私が、マスターベーションをしてるしてないの話が友達とできるようになったのは、江角事変の5年後、25歳になってからでした。

なんでも話せる女友達3人組で、誰からともなく「あのさあ……してる……よねぇ……?」と、恐る恐る聞いたのが始まり。話してみると当たり前のことなので特に驚きもなく「へえ~、そのやり方でやってるんだね」「私もそれ一回してみたけど定着しなかったわ」とか、料理や掃除のやり方と同じトーンで話すようになるのでした。