「江角事変」以降の歴史

そんなだったので、令和はテレビで女性のマスターベーションについての話を耳にすることが本当に驚きだし、逆に今までタブーになってたのはなんだったんだよ、という気もします。

でも江角事変から今日まで、22年の歳月を要しています。

2000年の江角事変後、私がテレビで女性のマスターベーションについて話している人を見たのは2010年。その人は湯山玲子さん。湯山さんは当時ブームだった「森ガール」を取り上げ「『森ガール』は草食男子に食べてもらえるように擬態している。でもこれからは肉食女子でもない、性欲を自分で自給自足できる光合成女子」と発言していました。

その時の私はテレビの前で「うわあー! すごいこと言ってる人がいる‼」と思わず手をたたき、喜びが全身からあふれました。

だけど今となると、「これからは」とか「○○女子」とか名前をつけて「新しい時代が来てるんですよ」と表現したり「テレビで言う」というセンセーショナルな光景がないと、女性のマスターべーションという当たり前のことを、当たり前、として受け入れられないということだったんだなと思います。

アイドルが公言する日がやってきた

その後、2016年に日本テレビのゴールデン番組「今夜くらべてみました」で指原莉乃さんが『ふたりエッチ』という性描写がたくさんある漫画をスマホで買って読んでいると言っているのを見て、とうとうこの日が来た、とゆっくり私はうなずきました。

やっと来た。アイドルが公言する日が。指原さんはいろいろな面ですごい女性だと思っていたがここの革命の旗も握ってくれるんかい、と頭が下がる思いでした。

指原さんの話し方が、エロスを演出した感じではもちろんなく、露悪的なやけっぱちでもなく、「スマホには人に見せられないものが入っている」という世間話の流れで言っていて、さらにそれを聞いたフットボールアワーの後藤輝基さんが「アホやなー」という感じで相づちを打っていたのも、私の「性欲があってマスターベーションをするのは男性も女性も同じ、するしないは性差ではなく個人差。なのに女性はしないってことになってるからいちいちそれを『あなたは普通の女性ではなく、エッチが好きな特殊な女性なんですね』と男たちが受け取り勝手に性的興奮オカズ文脈に活用するのなんとかしてくれよ」という長年のモヤモヤを癒やしてくれました。

そして、今年に入って藤田ニコルさんがテレビ朝日の『ロンドンハーツ』で「私もAVを見る」と言っていました。ビックリしている他の男性出演者たちに1人で「女の子用のAVもある」と説明していて感服しました。

翌日以降のニュース記事では「衝撃カミングアウト」とか大騒ぎになっていたけど、日々たくさん発売されている女性向けAVを誰が消費していると思ってるんだろうか。スマホで読む女性向けのエロ漫画の売り上げのすごさ知らんのかい。まあ、にこるんが言った、ということにビックリしているんだろうけども……。