「していない」ことになっていた

ついこの間の『ロンドンハーツ』では、ゆにばーすのはらちゃんとオダウエダの植田さんが自身のマスターベーションのやり方について話していました。他のお笑い芸人の女性たちは話してなくて、そうやって、自分の自慰について話す人と話さない人がいるっていうのは女性も男性も同じ、そんな、1990年代にも2010年代にも絶対に見られなかった光景を見られて感動しました。

例えば、もしこの世の中が、「女性は大便をするが男性はしない」ってことになってたらどうでしょうか。私たちが子どもの頃、男子はトイレの個室に入ったらウンコしてることがバレるという、無駄に過酷な状況がありましたが、ああいうのが大人になってもずっと続いていて、男性同士でも実はウンコしてるという話がしにくくて、「え⁈ 男なのにウンコするの⁈」とかいちいち驚かれてたらウザくないですか?

自慰と排泄を同列に語っても、よく分からない例えだなと自分でも思いますが、当たり前のことなのにしてないフリをしなきゃいけないのが続いたらウンザリしません?

その世界線で、ジャニーズの人とかが「俺ら男も、ウンコしますよ?」ってナチュラルに話してて女性芸能人が「そうなんだ」とかって普通に相づち打ってるのを見たら、「おお~~‼ 時代変わった~~‼」ってテレビの前で感動すると思います。きっと。

「女性って本当にオナニーするの?」の衝撃

以前、仕事先の飲み会に参加した時、セックスなどの話をしていたら、2人の子どもがいる知人の男性が聞いてきたことがありました。

「女性って本当にオナニーするの?」

親になっても「女性は自慰をしない」を前提に令和まで生きてこれた奇跡に驚くけど、そういう男性は珍しくない。

彼らは知らされてないんだから仕方ないんですよね。

ここには、私たちが受けた平成の性教育が大いに影響していると思います。

そして今の、令和の性教育は昔に比べたらかなり進んでいる部分もありますが、変わらない点もあるように思います。

「生理(生殖にまつわること)」と「射精(生殖にまつわることと性欲にまつわることがセットになっていること)」を男女の“対”として教えることで、暗に「女性には性欲がない」かのようになっている部分です。

そのことについては次回、触れていきたいと思います。

女性が性欲について話したときの男性の反応
イラスト=田房永子
田房 永子(たぶさ・えいこ)
漫画家

1978年東京都生まれ。2001年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞(青林工藝舎)。母からの過干渉に悩み、その確執と葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を2012年に刊行、ベストセラーとなる。ほかの主な著書に『キレる私をやめたい』(竹書房)、『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』(河出書房新社)、『しんどい母から逃げる!!』(小学館)などがある。