なんでも一番になりたかった小学校時代
「広島の、海と山に囲まれた田舎で、体育教師の父と英語教師の母の元で育ちました。二人とも特に教育熱心だった印象はなく、何かを『やりなさい』と言われた記憶はないです。ただ大人になって母に聞いてみると、小さなことでもいいから、早い時期から人生の成功体験をたくさん積ませることを意識していたそうです」
母も父も、平井さんをやる気にさせるのがうまかったという。特に記憶に残っているのは、クラスのなわとび大会。当日まで父親と一生懸命練習し、見事優勝した。
みんなの前で賞状をもらえたのがうれしかった平井さんは、それから“なんでも一番になりたい”小学生時代を過ごす。
“自分はできる”はずが毎日怒鳴られて…
「学校のテストでも、習い事の書道やピアノでも、絶対に一番がよくて。例えば書道の大会の前には遊ぶのを我慢して、5~6時間練習したり。母は私がやりたいと言ったことは絶対にやらせてやりたいと思っていたようで、夜9時くらいに教室に迎えに来て、泣きながらまだ練習する私を横で見守っていました」
成績もずっと学年1位。そんな優等生の平井さんが、勉強や習い事の合間にハマったのが料理だった。
家の手伝いや家庭科の授業で料理を習うのが楽しく、高校生になってからは料理教室にも通い出した。平井さんがそれまで趣味だった料理を仕事にしたいと考え出したのは大学時代。
「田舎から上京して、照明が薄暗いかっこいいお店で働きたいというミーハー心でフレンチレストランのキッチンでアルバイトを始めました。それまで勉強を頑張ってきたこともあり比較的できたので“自分はできる”と思いあがっていたのですが、店に入ってみたら、全くと言っていいほど仕事ができなくて。毎日先輩に怒られていたのですが、少しずつ仕事を覚えていき、やっと一人前にディナーの準備ができた日。来店したお客さんが『おいしい』と言ってくれたのを見て、どんどん飲食の世界にのめり込んでいきました」
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