暗号資産(仮想通貨)やNFT投資にも応用が利く?

ちなみにロレックス以外にも、パテックフィリップやオーデマ・ピゲといったブランドも、定価を大幅に上回る高騰を見せております。

これらはロレックスを上回る超名門ブランドで、普通に数千万円レベルの商品も珍しくありません。

このレベルになれば、コスパ(品質と価格のバランス)の要素は極めて低く、ほとんどが「需要と供給」の兼ね合いで価格が決まります。すなわち、ブランド価値(そして、その先行き)を判断しての投資となるわけですね。

ただ、ブランドは目に見えない(実体のない)ものなので、その見極めは非常に難しく、ましてやその先行きの予想など困難極まりません。そしてその判断には、データといった数字よりも、感覚・経験的な要素がものをいうわけです。

株式投資でも、企業のブランド価値を考慮することもありますが、基本的には、腕時計投資ほど、その比重は大きくはないでしょう。腕時計投資には、株式や債券といった伝統的な投資とは、また違った要素があるのです。

もっとも、ほとんどの人にとっては、腕時計投資は趣味の領域でしょう。

でも、そこで培った感覚は、今はやりの暗号資産(仮想通貨)やNFTといった(実体のない)ものへの投資に役立つかもしれません。もし腕時計に少しでも興味があるのなら、これからの時代、投資の幅を広げるためにも、投資家の視点も少し意識しておいて損はないかもしれませんね。

藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー

1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。