「いまできること」が見えてくる

朝も、悩みや葛藤が大きくなる時間です。

学校へ行かなければと思っているのに行けないとき、本当は行きたくないけれど無理に登校するとき。どちらもハードですが、いままで紹介した方法で自分の気持ちや状況を整理してください。

特に、登校できず家にいるときには、自分だけが周囲から遅れてしまうと不安や焦りを感じてしまうかもしれません。そこで、マイナスな気持ちだけにフォーカスしてしまうと、負のループに入ってしまいます。

しかし、事実をきちんと分析すれば「いまできること」が見えてくるはずです。焦らず、そしてあきらめず、ひとつずつそれをやっていけば、必ず少しずつ状況を変えていけます。

「苦しみの出口」を自分でつくる

もしあなたがいま苦しくてたまらない状況だとしたら、僕の言葉が心にすんなり入ってこない部分もあったかもしれません。しかし、たった一行でもいいので、つらいときの支えにしてもらえたら嬉しいです。

苦しみがずっと続くことはありません。つらい時間は、必ず終わります。

でも、いつ「そのとき」が訪れるかは誰にもわかりません。だから、自分自身で「苦しみの出口」をつくっておくことが大切だと僕は考えています。自分なりの方法でいいので、こう考えれば楽になれるという「ゴール」を自分自身で設定しておくのです。

僕の例をお話しすると、「なぜ自分だけがこんな思いをしなければならないのか」と苦しくて仕方がないとき、こんなふうに考えていました。

人生で感じる悲しみの量は「コップ1杯分」と決まっている。悲しみが満杯になると自動的にコップのフタが閉まり、それ以上の悲しみはやってこない。たまたま僕は、人より早く一生分の悲しみがやってきただけだ。コップが満たされたらフタが閉まる。次は楽しいことや幸せがやってくるだけだ、と。

つまり、人それぞれに一生の間で悲しみや楽しさ、幸せなどを同じ量だけ感じるけれど、それらがやってくるスピードは人によって違う。自分には、悲しみが先にたくさんやってきただけだと考えたのです。

青い背景にガラスに注ぐ水を飲む
写真=iStock.com/Julia_Sudnitskaya
※写真はイメージです

「親ガチャ」という言葉に救われた

もうひとつ「親ガチャ」という言葉も、理不尽な苦しみや絶望から救い出してくれました。

いまこの言葉は、他人と自分を比較するときに、親の経済状態や家庭環境は選べないといった軽いニュアンスで使われています。

しかし、もともとこの言葉は、虐待や育児放棄など、自分が悪いわけではないのに不条理にもたまたま過酷な環境に生まれた僕のような子どもたちにとって、救いの言葉でした。