死を思うほど厳しい状況に人が生き続けるために、何が必要か。現役の慶応大学生で、日本初の24時間365日無料チャット相談「あなたのいばしょ」の理事長を務める大空幸星さんは「小学6年生と高校3年生のとき、『死にたい』と思ったことがある。死を思うほど苦しい人が、それでも生き続けていくために、『出口』を残しておきたい。だからこそ『死んでもいいけど、死んじゃだめ』と言っている」という――。(第3回/全3回)

※本稿は、大空幸星『「死んでもいいけど、死んじゃだめ」と僕が言い続ける理由 あなたのいばしょは必ずあるから』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

カラフルな蝶は、暗いトンネル、自由の概念からその方法を見つける
写真=iStock.com/fcscafeine
※写真はイメージです

学校へ行きたくないと思ったらどうするか

「あなたのいばしょ」の相談件数は、新学期前にも大きく跳ね上がります。とても残念で悲しいことですが、子どもの自殺件数が急増するのもこのタイミングです。

相談の内容はほとんどが「学校へ行きたくない」「学校がつらい」というものです。

その理由は、大きくふたつに分けられます。ひとつは「友達や先生と顔を合わせたくない」というもの、もうひとつが「学校に行っても楽しいことがないから家にいたい」というものです。

こんなふうに言葉にすると、それほど深刻な悩みではないと感じる人もいるかもしれません。しかし、学校がしんどい人にとっては切実な問題です。気楽に過ごせた休みが終わり、学校でストレスの多い生活が始まるのかと思うと絶望にも似た気持ちが生まれるのです。

こんなときに役立つのは、事実と妄想を分けて考えること、そして、一番の原因をつき止めることです。

特に、友達や先生と会うのが嫌で学校へ行きたくない場合は、あれこれ想像して苦しくなっているケースも多いので、起きている事実をきちんと見極めると具体策が見えてきます。

できるところから工夫する

学校はつまらないし、居場所がない。だから、落ち着ける家にいたいと思う場合は、なぜ家が落ち着くのかを考えてみるといいでしょう。すると、いろいろな理由が出てくるはずです。

家にいれば話を聞いてくれる家族がいる。気兼ねなく好きなことができる。安心感がある。人に気を使わなくていい……。

その理由が見えてきたら、学校生活でその要素を少しでもつくれないかと考えてみます。たとえば、話を聞いてくれる友達を探す、休み時間や放課後に好きなことをしてみる、学校で落ち着ける場所はどこだろうと考えてみるなど、小さな工夫ができるはずです。大げさなことでなくてもいいのです。

それを、一日ひとつでいいからやってみようと考えて実行してみると、学校生活が少し楽になるのではないかと思います。

「あなたのいばしょ」でも、そうやって話をしながら相談者と一緒に考えていきます。すると、「そういえば、こんなことができそう」と気づいて、新学期への不安やしんどさが消えていく人も多いのです。