お金持ちは金利の差を保険料と考えている

それはさておき、お金持ちも変動金利型を好んで利用します。ただ、その理由は、普通の人とは異なります。

住宅ローンの金利を固定金利型と変動金利型で比較すると、固定金利型のほうが高く設定されています。お金持ちはその差を保険料と考えています。変動金利型は、将来、金利が上昇して返済額が増える可能性があります。そのリスクを回避したければ、保険料を支払う。すると固定金利型が利用できます。

たとえば、現在メガバンクが扱っている住宅ローンの金利は変動金利型で年0.5%程度(優遇金利適用)です。一方で固定金利型は1.5%程度(同)です。

この金利で仮に3000万円の融資を30年返済で受けると、変動金利型の毎月返済額は約9万円、固定金利型は10万4000円です。このケースでは毎月1万4000円の保険料を支払うことで金利上昇リスクを回避できることになります。

安心を得るためにコストがかかります。それが保険です。お金持ちは「保険料コストを支払う必要があるかどうか」を意識して、金利タイプを選択しています。

そもそもお金持ちは多額の資産を保有しているので、仮に金利が上昇して返済額が上がってしまえば、一括で返済することも可能です。であれば、保険料を支払う必要はありません。

金利が上昇する局面では、資産価格が上昇している可能性が高いでしょう。住宅ローン金利が上がっても、手持ちの資産を運用して得られる利益の方が大きくなると考えています。購入した不動産の価格も上がれば、なおよいわけです。

経済成長コンセプトのための矢印に木製のキューブブロック
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高所得者は「金利上昇に対処できるか」を基準に考える

高所得者で資産1億円を築くような人の中にも、同じ考え方をする人は多くいます。マイホームをキャッシュで買えるほどの資産は持ってはいませんが、「金利が上がったときに対処できるかどうか」を考えます。

変動金利型は、金利が上がると毎月の返済額が増えるかもしれません。そのとき、返済できるかどうか。問題がなければ慌てる必要はありません。あるいは一部繰り上げ返済をする資金があるなら、残高を減らして返済額を減らすことも可能です。

金利が上がるかどうかは誰にもわかりません。上がったときに何らかの方法で対処できるなら、低金利を生かせる変動金利型を利用するのが有利だと考えるのです。

逆に少しでも返済額が増えると家計が厳しくなる、一部繰り上げ返済をする資金もない人はコストを払っても固定金利型を利用して保険を掛けた方がよいかもしれません。ところが、家計に余裕がない人ほど変動金利型を利用しているケースが多くみられます。