「持ち家と賃貸のどちらがよいか」はなかなか結論の出ない問題だ。持ち家派は「家賃を払っても資産にならないから買ったほうが得」というが、本当のところはどうなのか。経済学者で元財務官僚の髙橋洋一さんは「地価の仕組みが分かっていれば簡単に答えられる」という――。

※本稿は、髙橋洋一『お金のニュースは嘘ばかり』(PHP新書)の一部を再編集したものです。

RENT/BUYと書かれた木製の家
写真=iStock.com/KTStock
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持ち家か、賃貸か

年金と並んで、中高年の暮らしに関する大きな問題は「家」でしょう。住宅に関してよく聞かれるのは「持ち家と賃貸、どちらがよいか」という質問です。

答えはけっこう簡単で、最初から土地や家をもっていない人であれば、賃貸のほうがよい。

最初から資産があるならともかく、資産をもたない人がお金を出してわざわざ資産を買う、というのは端から不利で、資産をもつために払ったお金が無駄になる確率のほうがはるかに高い、と知るべきでしょう。

土地が上がる、というのも神話です。たとえば一つの土地が100年にわたり1000万円の価値を保ち続ける、という確率はほとんどない。土地は利用してナンボで、利用する企業が多ければ地価は上がるし、少なければ下がります。確率を予想するのは困難で、コロナのような突発的な事態が起きてリモートワークが隆盛になれば都心のオフィス価格は下がるし、土地も下がる確率が高い。

地価が高いときに住宅ローンを組んで家を買った人が、給料から払いきれずに結局、土地や家を売らざるをえなくなる人が出てきます。1億円の土地で1億円の融資を受けて土地が5000万円に下がれば、返せなくなるのは子どもでもわかる話です。

土地を買う人にはそれだけのリスクが掛かる、ということ。ただ住むだけであれば、持ち家のリスクなど負わずに借りるほうがはるかに楽でしょう。