「成果」だけでなく「プロセス」の行動承認をしてみよう

行動承認とは行動そのものを承認することで、その人の行いを褒める行為です。

例えば、あいさつや掃除、他の人への気配り、仕事のプロセスといった行動を認めてあげることで、「自分の行動を見てくれている」と感じ、承認欲求を満たすことにつながります。

仕事は当然ながら、結果を出すことをシビアに求められます。そのため、成果が出たときしか承認しないことが多くなってしまいがちです。

一方、「行動承認」なら、「いつも書類を整理してくれてありがとう」「見込み客のヒアリングシートが参考になったよ」など行動や努力といった「プロセス」を承認することができます。元気がないときにはエンジンがかかりにくく結果もでにくいものですが、こうした行動承認を重ねることによってやる気を促進していくことができます。

ぜひ「○○してくれたのが良かったよ」というフレーズを使って声をかけてみましょう。

気づいていない変化を「成長承認」する

成長承認とは、以前と比べてどれくらい成長できたかを承認することです。あくまで、その人個人を基準に比較をした結果の承認です。

例えば、「商品説明がスムーズになったね」「書類のまとめ方がわかりやすくなったね」と伝えることを言います。

自分が気づいていない成長の変化を伝えてもらうことで、自信につながり、やる気を引き出すことができます。普段からしっかり観察をして、元気がなさそうに見えたときには、小さな成長でもしっかり言葉にして伝えてあげましょう。

成果承認とは、仕事などの成果を褒めることで相手を認めてあげる行為です。

「今期は、前期より10%伸びているね」「商談成立おめでとう」など目標を達成したときに「おめでとう」「よかったね」という言葉を伝え承認欲求を満たすことができます。

仕事では、承認する対象がわかりやすいため、おそらく簡単にできるはずです。メンバーが成果を出したら、それがどんなに小さなものでも、積極的に承認するようにしましょう。

やる気を引き出す言葉がけ「あいうえお」

そして、シンプルですが一番の報酬の言葉が「ありがとう」という感謝の言葉です。

感謝の言葉を伝える時には「色々ありがとう」という漠然とした伝え方ではなく「○○してくれてありがとう」と具体的に伝えると効果的です。

それでも声掛けが苦手という方もいるかもしれません。そこで、メンバーのやる気を引き出す言葉がけの「あいうえお」をご紹介します。よろしければ活用してください。

ありがとう…「いつも整理整頓してくれてありがとう」
いいね…「だいぶ、説明も上手くなっていいね」
うれしいよ…「お客様からAさんが褒められて、私もうれしいよ」
えんりょしないで…「遠慮しないで、いつでも聞いて」
おうえんしているよ…「失敗を恐れないで、応援しているよ」

(出典 阿隅和美著『仕事ができる人の話し方』)

こうした相手を思いやる言葉には、たった一言で、人を元気にするパワーがあります。

「あの時、かけてもらった一言で、ギアを上げることができました」と言ってもらえるように、いつも見守っているという言葉や承認の言葉を交わしましょう。夏バテなどちょっとした疲れに負けない体質のチームが生まれ、職場の活性化につながります。

阿隅 和美(あすみ・かずみ)
WACHIKAコミュニケーションズ代表

青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わる。アナウンサー名は瓶子和美。現在は、TV現場で培った技術を活かし、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。著書に『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)、『仕事ができる人の話し方』(青春出版社)があり台湾でも翻訳されている。ホームページ