安易にしてはいけない「元気がないけど…」の声かけ
残暑が続き夏バテ気味の人や、コロナ後の環境の変化で調子がいまひとつという人も多いようです。チームにひとりでも元気がないメンバーがいると、全体の士気低下にもつながりかねません。特にリーダーの皆さんは、ご自分の体調管理はもちろん、チームメンバーが元気でいるかどうか気になるところではないでしょうか。
日本企業の管理職の多くがプレイングマネージャーであるという実態では、個々のメンバーが充分にパフォーマンスを発揮しやすい環境をつくるコミュニケーションの取り方は、リーダ―にとって重要なマネジメントスキルであり、何より自身の負担を軽減するためにも身につけておきたいものです。
そこで、今回はチームの士気が上がる声掛けについて夏バテ気味で元気がないメンバーへの対応を取り上げ考えてみましょう。
元気がなさそうなメンバーを、励ますつもりでつい言ってしまうのが「元気ないけど、明日の大事なプレゼン、大丈夫?」といった類の声掛けです。
こうした「元気ないけど仕事は大丈夫?」というフレーズは、相手の体調を気遣っているようで、実は仕事の進捗に対する不安を言葉にしています。そのため、相手に「仕事を不安視している」というメッセージとして届きかねません。
せっかくの声掛けが、「信頼されていないのか……。プレゼン、果たして上手くいくだろうか」と余計な心配をさせてしまう、ネガティブな作用をもたらす恐れもあります。
疲れていれば誰でも弱気になる
そこで、このような場面での声掛けは、「体調は大丈夫?」と「仕事はどんな具合?」を切り離して2ステップで伝えるのがポイントです。具体的には、まず「元気なさそうに見えるけど、何かあった?」というようなフレーズで、見守っていると伝えることを優先します。
次に、仕事に関して「プレゼンの準備はどう?」と切り出し「○○さんのことだから問題はないと思うけど、どんな戦略でいくのか聞かせて?」と現状を確認する質問をします。
準備が順調そうなら「いいね、その方向でいこう!」と背中を押してあげれば自信を持ってプレゼンに臨めます。反対に「実は体調がいまひとつで準備が進んでなくて……」という返事なら、「よければ相談にのるよ」とサポートを申し出てもいいでしょう。
誰でも疲れていると、弱気になりがちです。元気がないときほど「見守っているよ」「一人じゃないよ」というメッセージが安心感を与えてくれます。「疲れているようだけど、どうかした? もし私に出来ることがあったら遠慮なく言ってね」というひと言に救われるものです。このように、元気がない人への声掛けの際には、ひと言ずつ丁寧な対話を心掛けましょう。