使う人を選ぶ制度 デメリットをよく考えて

リバースモーゲージがおすすめの人は、自宅のリフォームや老後資金としてまとまったお金を用意したい人で、子どもなどに自宅を遺す予定がない人、といったところです。

リースバックがおすすめの人は、ローンの返済に困った人や、老後資金などまとまった資金を用意したい人。どうしても自宅に住み続けたい、仕事や学校などの都合で引っ越したくないという場合は役立つかもしれません。

しかし、積極的に使うべき制度ではないでしょう。筆者はデメリットのほうが大きい制度だと考えています。

「住宅補助費用」が出る自治体をチェックしてみよう

賃貸住宅に住んでいる人や、住み替え先で賃貸住宅を検討している方もいるでしょう。賃貸住宅ならば、建物や設備が古くなってきても引っ越せば新しい部屋に住むことができます。広い部屋からぴったりの部屋にダウンサイジングするのも簡単です。

しかし、持ち家と違って、賃貸の場合、家賃が生涯にわたってかかり続けます。家賃が高いと、その分生活費を圧迫してしまいます。ですから、なるべく減らすことを考えましょう。

首都圏の家賃は高いですが、地方に移住すれば大幅にダウンできます。たとえ引っ越し代が20万円かかったとしても、地方で住宅を購入し、月々の住居費を12万円から5万円に圧縮できたとしたら、年間84万円の費用削減効果に。

移住にかかる費用の一部を補助してくれる移住支援制度を用意している自治体もたくさんあります。たとえば、静岡県御前崎市の「定住促進住宅取得補助金」では、定住目的で市内に住宅(新築・建売・中古)を取得した場合に、最大100万円の補助金が給付されます。老後世帯でも、基本額の30万円と転入者加算の50万円は受け取れるでしょう。

また長野県飯綱町の「飯綱町移住定住促進中古住宅等購入費補助金」では、飯綱町への移住・定住を目的に中古住宅を購入した方に最大で50万円が交付されます。自治体によって制度はさまざまですので、ぜひ検索してみてください。一般社団法人移住・交流推進機構の「自治体支援制度検索」では、移住者向け支援制度が検索できるので役立ちます。

とはいえ、地方への移住はハードルが高いという方もいるかもしれません。その場合は、「三世代同居・近居支援事業」をチェックしてみましょう。

三世代同居・近居支援事業とは、親世帯と子育て世帯(親・子・孫の三世代)が同居したり、近くに住んだりする際に補助が受けられるというもの。介護や子育てなどの負担を助け合って軽減することを後押ししてくれる制度です。

住宅取得や増改築にかかる費用を補助したり、給付金を支給したりと、こちらも補助の内容がさまざまあるので、お住まいの地域にある制度を確認してみてください。ただし、年度ごとに予算があり、予算に達した時点でその年度の受付が終了する自治体もあります。

頼藤 太希(よりふじ・たいき)
マネーコンサルタント

株式会社Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年にMoney&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』、YouTubeチャンネル『Money&YouTV』、Podcast『マネラジ。』、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)など書籍90冊、著書累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。