男性には、気づきを与える質問を

「お客さまには、とにかくはっきり正直にお話しすることを心がけました。サービスの説明はしっかり納得していただくため、曖昧な点がないようにお伝えする。婚活のアドバイスをするときは、その方の良い点も悪い点もはっきりお話しします。もちろん言い方には気を付けますが、正直な態度で向き合うことでちゃんと伝わるだろうと思っていたので」

男性の場合は自分に自信を持っている人多く、ストレートに伝えると傷ついてしまいがち。そのためにはまず信頼関係を築くことが大切で、丁寧にコミュニケーションをとりながら「あなたはどう思いますか?」と相手の気づきを引き出していった。

ツヴァイ セールス3部(中部・北陸信州エリア) セールス部長兼CS部長 深見志津さん
(写真提供=ツヴァイ)

逆に自分に自信を持てず、女性と話すことが苦手という人もいた。そんな人には「用事がないときも、気軽にカウンターに立ち寄ってください」と声をかけ、何気ない話をすることで話すことに慣れてもらうようにした。その人はそのうちジムへ通い始め、服装も気遣うようになり、サークルで出会った女性と結婚したという。

「婚活に一歩足を踏み入れることで気持ちが前向きになり、どんどん魅力ある人に変わっていく。そんな姿を目の当たりにすると、うれしくなりますね」

“説明したつもり”が生んだ返金

仕事は楽しかったが、つらい失敗も何度か味わった。入社まもない頃、3カ月間活動しても合わなければ入会金を返金するというキャンペーンがあった。深見さんは入会時にお客さまに説明したつもりでいたが伝わっておらず、3カ月後に入会金と月会費の返金を求められる事態が発生。最後は上司が対応し、一部返金することになってしまう。自分の確認ミスで会社に迷惑をかけたことで、自責の念にかられたという。

また店舗でいかに丁寧に説明を尽くし、再来店の約束をしても、それきり連絡が途絶えることも度々あった。そうした苦い経験もバネに実績を積み、アルバイトから契約社員に登用される。その後、社内でトレーナー職の公募があり、教育の重要性を感じてきた深見さんも手を挙げた。

トレーナー職に就くと、新人のマリッジコンサルタントを教える立場になった。深見さんは過去の経験を基に熱心に指導するが、そこでまた壁にぶつかることになる。

「自分のペースで教えると付いて来れない人がいて、何でわからないんだろうと思ってしまう。人それぞれスピードが違うのに相手のペースに合わせられず、めちゃくちゃ厳しかったと思います」と苦笑する深見さん。