ポジションが上がるほど重要視するのは「女性らしさ」

現実と乖離かいりした提案に踊らされることなく、自分の目で、自分の仕事(職種)に合うものを選びたいと考えるキャリア女性たちは多い。

彼女たちがスーツを着る理由は、ビジネスマナーはもちろんのこと、管理職にとっては、「肩書(役職)に負けないため」に自分を鼓舞するアイテムという意味合いもあるよう。だからといって、「男性並に働くための戦闘服」としてスーツを求めているわけではない。冒頭で記したように「女性らしさ」を表現するスーツを求める女性はここ数年格段に増えてきている。

こうした女性たちの本音を、『プレジデント ウーマン』本誌でもおなじみのイメージング・ディレクター・髙橋みどりさんは、こう分析する。

「今は、管理職=カッチリしたテーラードスーツというイメージは変わってきています。また、女性が働くことが当たり前の今、女性がより上位のポジションに就くことも一般的です。でも、女性は、役が上がれば上がるほど周囲から『怖そうに見られないだろうか』『偉そうと思われないだろうか』と、みなさんご自分の見え方に非常に悩んでいらっしゃる。だからこそ、女性らしくちょっとひと工夫あるスーツを好まれる方が多いですね。色味も紺やグレーなどではなく、ベージュや顔映りのいいやさしい色。何より、『女性だから楽しめる』デザインを取り入れる人も。仕事ができるのは当然ですが、男性のようにバリバリ働くというよりも、おしゃれでキレイな管理職のイメージを追求したいからではないでしょうか」

そこには、自分自身のイメージアップ以外も含まれてくるのが昨今の傾向のよう。

「スーツを選ぶ際、相手を常に意識します。自分と、自分が所属する企業への信頼性を高めたいから」(金融・マネジャー)など、ファッションに至るまで、所属企業と自分の関係性を強く意識する女性も増えてきている。

キャリア女性にとってのスーツとは、着る人自身の印象はもちろん、何よりも、着る人が所属する企業や、その人の役職までも200%サポートアップしてくれるものでなければならないようだ。

編集部では、2022年秋の発表に向け、こうした難題をいかにクリアするかを念頭に信頼のブランドとともに「理想のスーツ」の開発に取り組んでいる。お披露目の時まで、あと2カ月。乞うご期待を。

構成=プレジデント ウーマン編集部