売却銘柄の損失(儲け損ない)は、無限大

しかし、冒頭のファンケルのように、売った銘柄がその後値上がりしたようなケースでは、「心の整理」をつけることは難しいのでした。

なぜなら、前述のように、保有銘柄の値下がりによる損失は「有限」なのに対し、売却銘柄の値上がりによる損失(儲け損ない、言わば「心の損失」)は「無限大」だからです。

すなわち、値下がりのように「底」がないわけですから、どれだけ値上がりをしても、「もうこれ以上は大丈夫だろう」と安心することはできないのです。なので売却後、相当の期間を経てからも、ふと何かのきっかけで、ファンケルの株価をチェックしてしまうのでした。

実際、この原稿執筆をきっかけに、久しぶりにファンケルのことを思い出して株価をチェックしたみたところ、売値よりも20万~30万円程高い水準で推移しておりました。これを見て、「やっぱり、あのとき売っていなければ……」と凹んでおります。

ノートパソコンを前に動揺して頭を抱える女性
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです

イオンファンタジーでは一時40万円の儲け損ないとなるも…

ちなみに、売却後の値上がり銘柄は、ファンケルだけではありません。

もちろん、過去に私が売却したすべての銘柄をチェックしているわけではありませんが、売却後、顕著に値上がりした銘柄は、どうしても頭から離れません。

その1つが、約5年前に約30万円で売却したイオンファンタジー。

これもファンケル同様、買値の倍程度に値上がりしており、「そろそろ売った方がいいかな……」と、なんとなく売却しました。そして売却直後から株価はグングン値上がりをして、その後、一時70万円を超える水準まで高騰するのでした。

ただ、イオンファンタジーの株価はその後大きく下落して、現在、当時の売値を下回る25万円程度となっております。

これにはちょっとホッとしていますが、これはまれなケースでして、売却後に大きく値上がりした銘柄の多くは、その後も、売値を上回る水準が続いております。さすがに売値から10倍、20倍と値上がりした銘柄はありませんが、もしもそんな銘柄があったなら、それは一生頭から離れず、悔やまれることは確実で、それを思うとゾッとします。