国との結びつきが強い

PTAは戦後、教育の民主化を目指す占領軍(GHQ)の働きで、文部省(当時)主導の下につくられた。1948年には文部省内に前身である「父母と先生の会」委員会が設置され、文部省自らPTA結成の手引き書を作成し、全国の都道府県知事に配布した。52年には、「日本父母と先生の会全国協議会」という全国組織が結成されるが、ここでも文部省は参考規約を作成するなど、PTAを指導・管轄する立場を崩さない。その後、文科省に改編されても、PTAは生涯学習政策局社会教育課の管轄として教育行政に組み込まれる存在であり、2013年に公益社団法人となり内閣府の所轄となってからも、国との結びつきの強さは変わらない。

日Pは1968年に「日本PTA創立20周年記念式典」を挙行して以降、10年おきに周年行事を開催しているが、式典には皇太子、総理大臣、衆参議院議長、文科大臣の出席があり、国家の行事として創立を祝福される。日Pはその始まりから、国家の意志と強固に結びついた組織だと言えよう。

PTAは何のためにあるのか

では、この法人の目的は何なのか。PTAとは、何をする組織なのか。綱領にはこうある。

「わが国における社会教育及び家庭教育の充実に努めるとともに、家庭、学校、地域の連携を深め、子どもたちの健全育成と福祉の増進を図り、もって社会の発展に寄与すること」

何を意図するのか、わかりにくい。そこで日P発行の『今すぐ役立つ PTA応援マニュアル』を紐解けば、PTAは次の3つを目的として活動しているという。

1.地域社会と一体化
2.成人教育
3.学校教育への協力・連携

なぜか、PTAには「地域」がついて回る。地域社会とは町内会であり、青少年育成委員会など教育委員会の下部組織の活動にもPTAは組み込まれている。貴重な休日に町内会の清掃やお祭りの手伝いに保護者らが駆り出されることは町内会にとって当たり前のことであり、青少年育成委員会にしても非行防止や有害な社会環境の改善のためのパトロールにPTAの参加は欠かせない。それにしても、地域社会の小間使いがまさか、PTAの活動目的の筆頭に掲げられるとは……。

2の成人教育とは、保護者など大人への教育活動を指す。そのほとんどが「出汁の取り方」「アロマの活用」など、母親向けのものだと聞く。なぜ一方的に、保護者はPTAから教育されなければならないのか、疑問が残る活動だ。そして、3番目に学校へのお手伝い。悪評高いベルマークも、負担が大きい広報誌作りも、結局は「学校へのお手伝い」なのだ。ということは、PTAが主体となって行う活動は、疑問視される成人教育しかない。結局、PTAは地域や学校への奉仕機関なのか。そしてこれらを是とし、奨励する上部組織が日Pなのだ。

授業参観日に教室に親が着席している、ボカシのかかった写真
写真=iStock.com/Pornpak Khunatorn
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