「脱退してしまうと受け取れる情報が減ります」

日Pは、今回の都小P脱退の動きについてどう受け止めているのだろう。電話取材における回答は、以下のようなものだった。

「アフターコロナの中、コミュニティスクールや「令和の日本型学校教育」の推進などなど国のさまざまな動きがある中で、脱退してしまうと、受け取ることができる情報が減ってしまいます。それは、子どもたちのことを考えても非常に残念に思います。われわれは研究大会などを行い、社会教育発信の場や情報共有の場を作っています。その中で、それぞれの地域のPTAが自分の地域の特性に合わせて、政策を考えて頂けるように活動をしています」

日Pとは、国の意思の代弁者であり伝達者なのか。以前の取材で、当時の専務理事は「われわれの最も重要な役割は、国の教育方針を伝えることです」と断言していた。さらに「文科省や国交省など7つの省庁に、日Pから役員を出している」とも。日Pは子どもの現実から出発し、国に現状を伝えるものではなく、国の意思を下部の「単位PTA」にまで浸透させるトップダウンの組織と言えよう。同時に、国の各省庁に役員を出すことで、国の決定にあたかも保護者の意思を反映させたという名目を担保する行為をも担うことになる。

「楽しい子育てキャンペーン」の前にやるべきことがある

例えば日Pは毎年、「全国小・中学校PTA広報紙コンクール」を開催している。最も優秀だと判断された「単位PTA」には、文部科学大臣賞が授与される。取材に応じてくれた母親は、その事実に憤慨を隠さなかった。

「私、一体、何をしていたんだろう。子どものために広報誌を作っているって思っていたのに、行政に一斉に競わされていたなんて。誰がどんな観点で、審査するのかもわからないものに」

優秀とされるのは、国にとって都合のいい内容であることは容易に想像できる。

2001年からは文科省と協賛で「楽しい子育て全国キャンペーン」を展開、三行詩を募集し表彰している。テーマは、「家庭で話そう! 我が家のルール・家族の絆・命の大切さ」。目的は「『早寝早起き朝ごはん』といった子供たちの基本的な生活習慣づくりなど、家庭教育の大切さや命の大切さについて、親子や家族で話し合ったり一緒に取り組むことを社会全体で呼び掛けていくため」だと文科省はうたう。

個々の家庭のことに国が首を突っ込み、その中身まで、なぜ強制されないといけないのだろう。「楽しい子育て」を標榜するならば、ワンオペ育児の解消や最低賃金を上げるなどの格差解消や、2人に1人が貧困だとされる母子世帯への支援など、個々の家庭が抱える困難にこそ、目を向けるべきだろう。