民主主義の将来像

【斎藤】経済的利便性や、国家的利便性はいったんわきに置き、どのような社会を私たちは今後作っていきたいのか。ビジネスの第一線で働く方々だけでなく、高齢者や、女性、若い世代や外国人、あらゆる視点や立場をとりいれて考えるべきですね。

【堤】まさに、それこそが政策決定プロセスにおける民主主義の本質ですね。存在感を高めた台湾が、あえて若い世代と高齢者に政策提言をさせているように、日本でもビフォアデジタルに生きてきた高齢層が、Z世代に託せる財産が実は思った以上にたくさんあるんですよ……という本が、ちょうどもうすぐ書き上がるところです!

デジタル化のすてきなところは、これが、誰もが立場や条件に関係なく「当事者」になれる歴史的シフトだということでしょう。

おまかせではなく「当事者意識」を持った時、私たちはスマホ脳で自動運転になってしまった「考える力」をとり戻し、自分たちの手で未来を変えていくことができるからです。

斎藤幸平氏×堤未果氏
撮影=増田岳二

【斎藤】今こそ、本腰を入れて「民主主義」社会の将来像を語り合っていきたいですね。

今日は本当に勉強になりました。ありがとうございました。

構成=三浦愛美

斎藤 幸平(さいとう・こうへい)
東京大学大学院総合文化研究科准教授

1987年生まれ。経済思想家。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想、社会思想。Karl Marx’s Ecosocialism:Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy によって「ドイッチャー記念賞」を歴代最年少で受賞。『人新世の「資本論」』(集英社新書)で「新書大賞2021」を受賞。同書は19言語に翻訳され、世界的ベストセラーとなり、続編『人新世の「黙示録」』も日本国内だけでなく欧州で大きな話題を呼んでいる。

堤 未果(つつみ・みか)
国際ジャーナリスト

東京生まれ。NY市立大学大学院国際関係論学科修士号取得。国連、アムネスティ・インターナショナルNY支局員、米国野村証券を経て現職。日米を行き来し、各種メディアで発言、執筆・講演活動を続ける。『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』で日本ジャーナリスト会議黒田清新人賞、『貧困大国アメリカ』(3部作、岩波新書)で日本エッセイストクラブ賞、新書大賞受賞。多数の著書は海外でも翻訳されている。近著に『デジタル・ファシズム』(NHK出版新書)がある。