トランプが大統領の座を追われた4年前、アメリカで潜入取材
――『「トランプ信者」潜入一年』(小学館)の取材時に、横田さんがアメリカに渡り共和党のトランプ陣営に潜入したのは、2020年の大統領選の時期でしたね。このときは民主党のバイデン氏が勝利し、トランプ氏が大統領の座を4年で追われました。

【横田増生(以下、横田)】2019年12月から21年1月までアメリカで、主に大統領選の取材をしました。そのときはトランプが敗北し、トランプ信者による連邦議事堂占拠事件の暴動を現場で目撃。そして、ジョー・バイデンが第46代大統領に就任したのを見届けてから、帰ってきました。それから4年間は、アメリカには行っていません。
――著書にも21年の時点で「トランプの政治生命はここで尽き果てた」と思ったけれど、「トランプはまだ生きていた」と書いていますが、2024年、トランプが再選された大統領選についてはどう思われましたか?
【横田】トランプとハリスの対決では、選挙人541人中270人以上を獲得した方が大統領になるわけですが、トランプが勝つとしても、世論調査のとおり僅差になると思っていました。しかし、蓋を開けてみると、トランプは選挙人数でも総合得票数でも勝利し、連邦議会でも上院と下院の過半数を共和党が獲得しての圧勝でした。正直、驚きましたね。
大統領選に圧勝しカムバックしたトランプ、支持者が急増?
――それは単純にアメリカでトランプ支持者が増えているということですか?
【横田】そういう見方もありますが、それでは、なぜ2020年にトランプが負けたかという理由が説明できません。
アメリカの大統領選では約1億5000万人が投票し、そのうち「死んでもトランプに入れる」という固定支持者は5000万人から6000万人ていどだと言われています。しかし、それだけでは勝てない。選挙で勝つには7500万票が必要ですから。
重要なのは、「浮動票」がどう動くか。その最大の層は白人女性、二番目に多いのがヒスパニック系の人。彼らは必ずしも共和党支持者でも民主党支持者でもなく、その時々の状況を見て投票先を決める人たちです。浮動票を持つ人はギリギリまでどちらの候補に入れるか悩むものですが、今回はトランプに流れたのでしょう。
