スタートアップ企業などの資金調達手段として定着しつつある「クラウドファンディング」。興味はあるものの、よくわからないために投資に二の足を踏んでいる人も多いだろう。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏さんは「そんなの人のために私が身銭を切って体験した顚末を紹介します」という――。
クラウドファンディングのイメージイラスト
写真=iStock.com/designer491
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始まりは六本木の「桑名の天然ハマグリ」専門店

数年前、私は某飲食店に出資しました。

それは、「桑名の天然ハマグリ」が売りの、とある「ハマグリ専門店」。

その店の売り上げに応じてリターンが変動する仕組みなのですが、直前実績の6割程度の売り上げがあれば元本割れはしないとの条件でして、これは手堅いなとの判断でした。

私はハマグリには何の思い入れもありませんが、店は東京・六本木という好立地、そして東京で天然ハマグリが食べられる物珍しさからも、投資妙味を大いに感じたのでした。

そして、その投資スキームは、今話題の「クラウドファンディング」だったのです。

クラウドファンディングとは、「ネットを通じて不特定多数の人から、お金を集めること」です。

よく目にするのは、「映画を制作したい」「新商品を開発したい」といった夢を語り、それに共感してくれた(不特定多数の)人にお金を出してもらい、その夢を実現するものではないでしょうか。お金の出し手には「映画鑑賞招待」「新商品(の割引)」といった見返りがありますが、出したお金は戻ってきません。

われわれがよく目にするこのタイプは「購入型」と言われるもので、お金の出し手に金銭的リターンはありません。まったく見返りのない「寄付型」とあわせて、これは「非投資型」クラウドファンディングと言われるタイプです。

金銭的リターンが期待できる「投資型」クラウドファンディング4タイプ

それに対し、金銭的リターンが得られるタイプが、「投資型」クラウドファンディングです。私が出資したのは後者のタイプであり、当然、私は金銭的リターンを大いに期待してのことでした。

さて、そんな「投資型」クラウドファンディングは一般的に、以下の4つに分類されます。

貸付型(※):さまざまな事業を営む事業者にお金を貸付ける
不動産投資型:不動産に投資する
株式型:非上場企業の株式を購入する
ファンド型:特定の事業(プロジェクト)に対して出資する
*融資型、ソーシャルレンディングとも呼ばれる

「ハマグリ専門店」への出資は、このうちの「ファンド型」でした。

すなわち、ハマグリ専門店を営む会社に貸付けたり、出資したりするわけではなく、その事業(プロジェクト)そのものへの投資ですから、あくまでも「お店の売り上げ」こそがリターンを決める要素となるのです。その意味では非常にシンプル、かつ、投資先がハッキリ見えるわけで、他の投資にはない緊張感もありました。