部下の反感を買う言動をしていないか

もちろん、いくら知識が豊富でも、一般的な理論がそのまま現場に当てはまるとは限りません。学歴や資格などのスペックだけでは、その人の本当の能力はわからないものです。部下から「能力不足では?」と暗に責められたとしても、そのことだけで自分を卑下する必要はありません。

ただ、無意識のうちに部下の反感を買う言動をしていないか、という点については、ぜひ振り返って自省したいものだと思います。

「これからは私の方法に従ってもらいます」
「どんどん改革を進めていくので、私のやり方についてきてください!」

リーダーシップを発揮しようとして、こんな発言をしている人は要注意です。一方的な指示は自分流の押し付けとうつり、論理的に考える部下からの反発を招きかねません。

指示やサポートは合理的な根拠に基づいて行い、きちんと説明をすること。たとえ自分のなかでは筋道が通っていたとしても、相手に伝わっていなければ意味がありません。気心が知れている同僚や部下であっても「このくらい言わなくても伝わるだろう」という思い込みは危険です。

高層階のオフィスの窓際に立つ女性
写真=iStock.com/somethingway
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「敵」の本丸を攻略するのが、いちばんの近道

部下からの理不尽な「逆パワハラ」でチーム内に不和が生まれてしまったとしたら、上司の立場にある人はどう対応したらいいでしょうか。

まずは、自身の言動を振り返り、いかにも「管理職然」とした一方的な指示になっていないかをチェックします。

その上で、部下の気持ちを取り戻すための策を打ちましょう。ポイントは、反上司の旗を振っている人物にアプローチすることです。さきほどの例ならば、Bさんにアタックし、部内をまとめなおすために力を貸してほしいとお願いするのです。

「Bさんにはチームをまとめるリーダーシップがありますよね。みんなも、私の言うことはいまひとつピンとこないようですが、Bさんが言うとすぐに動いていて、いつも感心しています。今回のプロジェクトを成功させるためには、あなたのようにチームメンバーの信頼が厚い人材が必要です。ぜひ協力してくれませんか?」

こんなふうに相手を認め、協力を仰ぐという姿勢を見せれば、部下もいつものように攻撃しづらくなるでしょう。人は基本的に、自分を尊重し、敬ってくれる人を否定することは難しいものです。