勝ち負けにこだわらないテニス

突如大谷選手とはとんでもなく遠い、低レベルの話になって申し訳ありませんが、私もスポーツは好きで、子どもの頃から楽しんできました。

今も時々テニスの仲間からのお誘いがかかり、ボールを追いかけると本当にすっきりします。その中で、たまに思い通りのボレーが決まったり、ストレートで相手の脇を抜くことができたりしたら、大げさに言うなら天にも昇る嬉しさです。

滅多にないことなので、気持ちよかったなあと思い出してニヤニヤもします。でも、試合での勝ち負けにはこだわりません。

テニスラケット、ボールとテニスシューズ
写真=iStock.com/kobeza
※写真はイメージです

プレイの終わった後、皆でビールを飲みながら(残念ながらアルコールに弱くウーロン茶でのおつきあいです)試合の話をするのも楽しみなのですが、そんな時もスコアはまったく覚えていません。仲間の中には、勝負にこだわっていつまでも口惜しがっている人もいます。それも生き方と知りながら、忘れちゃった方が楽なのにと笑って聞き流しています。

大谷翔平君(大選手ですが、投稿者もこう書いていました。孫の世代なので、気持ちとしては「君」です)は、天賦の才に恵まれているだけでなく、努力を重ねていることは、日常の報道でわかります。でも、競争で野球をやっているのではないことは事実でしょう。もっと上手くなりたい、速い球を投げたい……さまざまな思いで、より上をめざしているけれど、誰かと競争をしているとは思えません。その意識でやっていたら、あの笑顔は出てきません。

胸のすくようなホームランを打ち、投げた後に示される数字に驚く速球を投げるだけではない魅力を見せてくれる若い人がいることに、未来への希望が見えてきます。

藤井聡太君のはにかむ笑顔

そう言えば、もう一人まったく同じ魅力を持つ青年がいますね。藤井聡太君(今や大棋士ですが、大谷選手と同じくついこう呼びたくなる魅力があります)です。こちらもすばらしい。

小学校6年生で将棋連盟の奨励会初段になったのは史上最年少とあります。5歳でおじいさま、おばあさまから手ほどきを受けたのが始まりで、以来将棋一筋というのですから、性に合ったのでしょう。

小学校2年生の時に子どもたちを対象にした将棋の全国大会の東海地区で準優勝という記録に驚きますが、この時の映像を見て、本当に可愛いと思いました。ハカマ姿でタスキ掛けの小ちゃな男の子が表彰式の間中大泣きしているのです。

そこからは競争をして一番になれなかったことではなく、敗けた自分が情けないという気持ちが伝わってきました。その気持ちのまま成長している姿を今も見せてくれています。14歳2カ月で四段になったのも、加藤一二三さんの記録を更新し史上最年少というのですから、こちらも大谷翔平君と同じく、天賦の才に恵まれたすばらしい青年です。