優待廃止リスクの低い銘柄を見極める2つの視点

いま、ザっとこれだけの要因が挙げられるわけですから、優待実施企業の減少(優待廃止リスクの上昇)というのは、時代の大きな流れとして、受け入れざるを得ないようです。

そんな時代において、株主優待を楽しもうとするのであれば、いままで以上に、企業の業績や財務状況などをしっかり見極めるという、株式投資の基本に立ち返る必要がありそうです。前述の要因に限らず、やはり業績や財務状況の思わしくない企業は優待を廃止してしまう(せざるを得ない)可能性は高いわけですから、赤字続きや減収減益、債務超過といった企業は(どれだけ優待が魅力的でも)極力避けたいところです。

あと、そういった株式投資の基本に加えて、優待廃止リスクを見極めるポイントとして、優待銘柄ならではの視点を2つ、挙げてみたいと思います。

1 その優待には、実績があるのか?

昔からずっと続いている優待については、企業側にもそれだけ優待実施のノウハウが蓄積しており、優待の費用対効果も把握(コントロール)していることから、廃止リスクは比較的低いと言えるでしょう。

また、長年続く優待廃止のマイナスイメージは計り知れないであろうことからも、優待廃止には消極的だと考えられます。

逆に言えば、導入されたばかりの優待は、「優待を始めてみたけれど、負担が大きいので、やっぱりやめます」的な感じで、あっさり廃止してしまうケースも少なくありません。

最低3年以上、できれば10年以上、改悪されることなく続いている優待銘柄を選びたいものです。

2 その優待は、本業と関連するのか?

たとえば、吉野家やかっぱ寿司といった外食企業の「お食事券優待」は、企業(店舗)の宣伝や集客につながり、本業との相乗効果が見込めます。このように本業と関連する優待(お食事券や自社製品等)も、廃止リスクは比較的低いと言えるでしょう。

逆に言えば、本業とはまったく関係ないような優待は、廃止リスクが高くなります。その代表が、クオカード等の金券優待です。

金券の類いは使い勝手がよく、もらう側にとっては嬉しいのですが、企業側からすれば本業との相乗効果が薄く、せいぜい券面に企業ロゴを入れるくらいでしょう。また、原価ベースの負担である優待券や自社製品に比べて、金券は額面金額そのものがコストとなるので、企業側の負担も大きくなります。なので、とくに金券優待には気を付けなければいけません。

ちなみに、前述(優待廃止でWパンチ)のエリアクエストもクオカード優待だったわけです。しかも優待利回り(優待金額÷株価)は5%近くと高く、企業からすれば、かなりの負担であったと思われます。また、優待は導入されたばかりでもありました(導入からわずか5カ月で廃止するという、優待マニアの間では伝説的なスピード廃止として語り継がれている)。いま振り返れば、エリアクエストの優待廃止は、十分予見できたのかもしれませんね。