優待廃止リスクにおびえながらも保有を続ける銘柄とは
あと、優待廃止リスクを避けるためには、企業からの「アナウンス」も見逃せません。
たとえば、優待銘柄として有名なアトム(ステーキ店や居酒屋等を運営/7412)ですが、『会社四季報』2022年春号にて、「個人株主多く優待の負担大きい」「長期的に配当での還元に重点移す方針」と、将来的な優待廃止をにおわせる記載があり、優待愛好家をざわつかせています。もっとも、「優待改悪には消極的」との記載もあり、実際の判断は難しいところですが。
ただ、7万円台の株価で年間4000ポイント(4000円相当)もの優待は、大きな負担であることは間違いありません。長年の優待実績があり、本業との相乗効果のある優待ではありますが、業績が芳しくなく、コロナ禍の逆風を考慮すると、個人的には、将来的に優待廃止も十分あり得るかとは思っています。
そして私自身、この銘柄を保有しているわけでして(優待廃止リスクにおびえながら)、さらなる優待廃止のサインが出てくるようであれば、いつでも手放せるよう身構えております。
このように、優待愛好家にとっては心労が増す時代となりつつありますが、株主優待制度そのものがなくなることはないでしょうし、魅力的な優待銘柄はまだまだたくさんあります。
今こそ、こんな時代の変化こそ、ずっと付き合える優待銘柄を見極め、そして、素晴らしい優待銘柄と出会えるチャンスであると、前向きに捉えたいものですね。
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。