質の良い睡眠をとるためには、どうしたらいいのか。精神科医の井上智介さんは「就寝時間から逆算して、ルーティンを決めていくのがおすすめです。就寝前の2時間は、食事、激しい運動、スマホやタブレットは控えましょう」という――。
アジアの女性は、夜に眠っている彼女の前にベッドの上、スマート フォンを使用しています。
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若い人ほど睡眠時間が必要

睡眠障害はメンタルヘルス不調の代表的な初期症状の一つです。逆もまた然りで、質の良い睡眠をとることは、うつ病などのメンタルヘルス不調の予防にもつながります。

睡眠をととのえるために、まず考えたいのが「睡眠時間」です。「睡眠時間はどれぐらいとればいいのですか?」とよく聞かれますが、正解は「人によって異なる」としか言いようがありません。一概には言いにくいのですが、一般的には7時間ぐらいは寝たほうがいいといわれます。

若い人ほど睡眠時間は多く必要です。高齢になるほど必要な睡眠時間は減少していき、60歳代で平均6.5時間ぐらいといわれます。20代なら8時間ぐらいは必要です。

睡眠時間、足りているかをチェック

さきほど、必要な睡眠時間は人によって違うと言いましたが、今の睡眠時間が、自分にベストかどうかを判定する方法は2つあります。

一つは朝起きてから4時間後に、しっかりと目が覚めているかどうか。人間は朝起きてから4時間後が最も覚醒度が高く、その時間に眠気があるのは問題です。たとえば朝6時に起きて10時に眠くなるのは、睡眠時間が全く足りていないことになります。

二つ目は、昼食後に眠くならないことです。ただし、だれしも「アフタヌーンディップ」といって、昼食後1時間くらいは覚醒レベルが少し低下してウトウトしやすくなります。その解消のために「パワーナップ」といわれる、短時間の昼寝は効果的です。しかしそれが、「横になって1時間以上寝ないと耐えられない」などになると、明らかに睡眠不足です。

適切な睡眠時間を確保していても、寝つきが悪かったり、途中で目が覚めたりしているようでは、良質な睡眠をとっているとはいえません。では質のよい睡眠をとるには、どうしたらよいのでしょうか。