お酒は睡眠の質を下げる

眠れないときにお酒の力を借りる人もいるかもしれませんが、アルコールは睡眠の質を下げてしまいます。一番の理由は利尿作用です。寝ていてもトイレに行きたくなり起きてしまうので、ぐっすり眠れません。

また、お酒は寝つきがよくなると勘違いされることも多いのですが、お酒自体に寝つきがよくなる作用はありません。ただリラックス効果は働くので、それによって、もともとの睡眠不足があらわれて寝つきがよくなる気がするということですね。

アルコールを飲んではダメということではありません。問題は量と時間です。量は日本酒で1合、ビールは500mlのロング缶1本程度でとどめましょう。夕飯と同様、飲む場合は就寝の3時間前までにします。

またタバコに含まれるニコチンにも覚醒作用があるので、吸うなら寝る1時間前までにします。23時に寝る場合は、22時がギリギリセーフということです。

ベッドに入っても、「明日はこれとこれをやらなくちゃ」「今週中にこれをやらないと、明日もまた怒られるのかな……」など、翌日のことを考えて不安になり、眠れなくなるということもあるでしょう。その場合は、「気を紛らわせる方法」をとりましょう。

なんでもいいのですが、テレビやスマホのように視覚的な刺激の強いものは避けます。ラジオを聴いたり、本を読んだり、タイマーをかけてオーディオブックを聴いたりするのも良いと思います。最近はポッドキャストで、眠りをさそう音楽やお話などの番組もあるようです。

私はよく患者さんに、眠れないときは自分の病気の本を読むことをすすめています。たとえば躁うつ病なら、躁うつ病に関連する本を読む。一応、自分の病気なので、全く興味がないわけではないと思いますが、内容が難しいので、読んでいるとすぐに眠くなってしまうと思います。

休日は4つの時間を固定する

連休など、まとまった休みがあるときには、生活リズムが乱れがちです。そんな時は、朝起きる時間と3食の時間を固定させれば、睡眠に悪影響を及ぼしにくくなります。週末も、この4つの時間を固定させるように心がけましょう。

朝起きる時間は、平日の起床時間プラス2時間までなら大丈夫です。たとえば、平日朝6時に起きているなら、8時までは寝ていてもOKです。それ以上寝てしまうと、時差ボケのようになってしまい、次に出社する日に6時起床に戻すのが大変になります。

連休明けに、急に出社の朝から通常モードに戻すのは、精神的にも身体的にも大変です。休み最後の1日は、起床時間を元に戻し、通常モードに体を慣らしておきましょう。そうすれば、連休明けからまた元気に働くことができるでしょう。

構成=池田純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。