ゼロ評価がないと人はどう考えるのか

評価にはゼロがない。これを徹底しないと、成長しない言い訳が成立します。

たとえば、次のように年に4回の評価を部下に下すとします。

・1回目「結果が出たから『プラス3』です」
・2回目「未達だったので、『マイナス2』です」
・3回目「あと一息だったので『マイナス1』です」
・4回目「大きな成果を出したので『プラス4』です」

すると、1年間でトータルは「プラス4」という点数になります。しかし、評価にゼロがあると思っている部下は、次のような誤解をします。

・1回目「今回は『プラス3』だな」
・2回目「全然ダメだったから『ゼロ』だ」
・3回目「今回も良くなかったから『ゼロ』だな……」
・4回目「よし、大きな成果が出たから『プラス4』だ!」

こうすると、トータルで「プラス7」になります。ここにお互いの意識のギャップが生じます。

「ダメだった=ゼロ」としてしまうと、ダメで当たり前であり、現状維持してもいい感覚になる。これはとても危険な考えです。

本人が危機感を感じる仕組みを

マイナスの人にマイナス評価をつけて、「このままではマズい」ことを認識してもらいます。その認識の瞬間は、まさに「数値化の鬼」になってもらうのです。

別に、その人の人格や人間性がマイナスなわけではありません。この先の成長を信じているからこそマイナス評価を与えられるのです。

マイナスの人の給料を下げるぶん、貢献してくれた人にはプラスの給料を与えることができます。

その原資にしたほうが、組織全体はうまくいきます。経営者から見ても、極めて健全な状態だと思います。

安藤 広大(あんどう・こうだい)
識学 代表取締役社長

1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングスを経て、ジェイコム(現:ライク)にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11カ月でマザーズ上場を果たす。4000社以上に識学メソッドを導入。