好き嫌いの表情はなにが違う?
どうすれば、接待相手の好き嫌いがわかるでしょうか。図表2を見て下さい。A、Bは、美味しい飲み物を飲んでいるとき、あるいは、不味い飲み物を飲んでいるときの表情の変化を捉えたものです。
この人物は、美味しいか、不味いかに関わらず、飲み物を飲み干してから「凄く美味しいです」と感想を述べています。矢印は、飲んだ直後から、「美味しい」と言うまでの経過を示しています。
本当に美味しいと感じているのはどちらでしょうか。
そう、ちゃんと顔に書いてあります。Aが不味い、Bが美味しいと感じたときです。Aでは、口角が引き下げられ、下唇は引き上げられるネガティブな表情をしています。その後、笑顔に移行しています。
Bでは、眉が引き上げられ、目が見開き、唇はプレスされつつややすぼめられています。その後、Aと同じく笑顔に移行しています。
目尻のしわに幸福感情がでる
AとBの笑顔の強度を比べても違いがわかります。A、Bともに口角は引き上げられていますが、Bでは、目尻にしわが生じているのがわかります。Aにはありません。目尻のしわは、真の幸福感情がある可能性が高いことを示します。
このように接待相手の表情をよく見比べることで、相手の好き嫌いがわかり、接待の満足度を上げることが出来るでしょう。
ところで、2回目の牛タン専門店の後日談があります。そこの牛タン、食べざるを得ず、頂いたんですね。そうしたら、絶品だったんです。嫌いな食べ物でも、店によって全然異なるのだという驚きを体験した出来事でした。
1982年、東京生まれ。防衛省研修講師。特定非営利活動法人日本交渉協会特別顧問。日本顔学会会員。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。