止める人が誰もいなかったのか

もちろん育児経験がないこと自体は、悪いことではありません。しかし、政治家たちには少なくとも想像力は持っておいてほしかったと思います。さらに言えば、要望を出した本人たちに想像力がなかったとしても、周りに止める人が一人もいなかったのでしょうか。

2歳児へのマスク着用推奨を求めるまでの過程で、「いやいや、そんなの無理だから」と誰も突っ込まなかったのだとしたら、それもまたショックな話です。

専門家や保護者の声が届いたことは希望の光

ただ、希望を感じる出来事もありました。この件が報道されてすぐ、専門家から異論が相次いだのです。例えばツイッターでは、多くのフォロワーを持つ新生児科医・小児科医の方が、医学的根拠を示しながら異議を唱えていました。

根拠となるサイトを引用しながら、2歳児にマスク着用を推奨することのどこがどうおかしいのか、政策を決める側はどうすべきなのか、きちんと説明してくれたのです。

親である自分としては、医師の方が専門的な見地からしっかり発信してくれたことを、とてもありがたく感じました。加えて、全国の保護者たちからも異議申し立ての声が上がり、結局、マスク着用推奨年齢を「2歳以上」とする案はすぐ撤回されたのです。

国民が、おかしいと感じた政策に対してすぐさま異議を唱え、スピーディーに撤回に持っていけたのです。SNSの力もいい方向に発揮され、専門家や保護者の声を国に届けるうえで大きく役立ちました。