入社すぐに受けた「低評価」のトラウマ

もともと新卒で入ったのはベンチャーの損害保険会社だった。社会に貢献できる仕事がしたいと志したが、その頃からずっと「自分に自信を持てないこと」に悩み続けてきたという。

「新卒社員が45人ほどいたのですが、新人研修の一環で最初は全員がコールセンターに配属されました。まず応対や商品知識などいろんな視点で評価されるのですが、私は後ろから数えた方が早いくらいの低い評価。そこでもう挫折してしまい、“私はダメなんじゃないか”というコンプレックスを自分に植え付けてしまったのかもしれません」

入社9年で「総務部長」へ

1社目は9年余り在籍し、保険事務、経営企画、システム企画、営業推進など複数の部門を経験。ようやく仕事を覚えた矢先に異動するのはつらく、特にシステム企画から営業推進への異動が決まったときは「これからチャレンジしたいこともあったのに」とひっそりトイレで泣いたという。

しかし、それが自分の役割なのだと、それからは吹っ切れたように与えられる業務を集中して身に付けた。やがて課長代理になったことで満足していたものの、中途入社の同年代のメンバーが成果を上げて部長に抜擢される。称賛される姿を見たとき、動揺する自分がいた。

「初めて悔しいという感情が湧いたのです。

ずっと自分に自信を持てず、部長なんて到底無理だろうと思っていたけれど、努力すればチャンスがあるかもしれないと気づくことができました」

社内で募集していたビジネススクールに応募して参加してみるなど、積極的に行動するようになり、周りの評価も変わっていく。入社9年目には総務部長に昇進。本社の移転業務など大任を務めたところで、大畑さんは転職を考えるようになった。

「このまま同じ会社にいても、自分は成長できるのだろうか。まだまだスキルも足りないし、もし今後役員へとキャリアアップしていくのであれば、新しいチャレンジをしてもっと経験を積まねばと。外の世界を見てみたいという気持ちもふくらんでいたんです」

信頼する女性上司に話したところ、「いずれこういう仕事を一緒にしたかった」と言われ、思わず熱いものが込み上げる。夜中まで二人で泣きながら幾度も話し合った。