社長の一声で報告書が6分の1に

随分と昔のことですが、パナソニックの創業者・松下幸之助さんが、本社が営業所や事業所から上げさせる報告書の数の多さに驚いて、こう提案したそうです。

「明日、会社が潰れると困るから、明日潰れることに関係のあるものだけは残すけれども、それ以外は全部やめてしまってはどうか」

すると、報告書は6分の1にまで減ったといいます。今も似たようなことが日本の職場では繰り返されているのではないでしょうか。私たちが仕事と思って、またはそう言われてやっているものの中にはたくさんのムダがあります。あるいは、必要なものだとしても、それをあなたが本当にやる必要があるのでしょうか。

こう考えてみると、日本の職場は事務作業や調整などの間接業務が悪気なくあふれています。それが、プロがプロの仕事に集中できない環境をつくっていたり、押しつけ合いが起こって職場の人間関係をギスギスさせたり、最後には管理職が引き取らざるを得なくなる状況をつくり出しています。その結果、本業に集中できる外資系企業に人材が流出する、誰も管理職になりたがらなくなる負のスパイラルを生んでしまっているのではないでしょうか。

ムダな仕事のせいで企業が衰退

「事務作業や間接業務を撲滅する」

このくらいの気持ちで仕事を洗い出し、「なくせるもの」「減らせるもの」「自動化できるもの」「専門家に任せられるもの」を分類する。そのような仕分けとスリム化に本気で着手してほしいと思います。

チーム単位でスリム化できるものはとっととスリム化する。関係部署や、人事や総務や経理など管理部門の協力が必要なものは巻き込んで解決する。時には、監査法人や税理士などと正しく揉めて、正しく事務作業や間接業務をラクにしていく。そうでもしないと、この国は事務作業や間接業務が足枷となって衰退します。

以下は削減、スリム化、自動化の余地がある仕事の代表例です。

・事務作業
・毎回対面を求める会議
・印刷、押印、手書き、郵送などを求める手続き
・報告業務
・ダブルチェック、トリプルチェック
・電話対応/テレアポ業務
・日程調整
・FAXでしか受け付けない受発注業務や申請業務
・業界やその企業独自の業務プロセス
・PPAP(添付ファイルzip形式圧縮+パスワード別メール送付)

正しく向き合い、疑ってみてください。そして、なくせるものはなくしていってください。