女性が増えると男性も風土も変わる

【白河】ノキオでは、女性人材の増加や彼女たちの活躍推進が成長につながりました。でも、そこに気づいている企業は、特に地方にはまだ少ないように思います。小川さんから見て、周囲には女性人材の可能性に気づいていない企業が多いですか?

【小川】そう感じます。東京に比べて、意思決定層に女性がいる企業は非常に少ないですね。ずっと男性中心でやってきているので、風土もなかなか変わりにくいのかなと思います。ただ最近は、当社の働き方に興味を持って相談に来られる経営者が増えてきました。主に40代の2代目社長の方々で、「改革したいが長年培われてきた風土をどう打破すればいいのか」と。その意味では、浜松でも変革の芽は出始めているように思います。

【白河】風土、カルチャーを改革したい時、鍵になるのは働き方と女性です。女性が増えると男性の意識や働き方も変化しますから、結果的にカルチャーが変わり、会社の成長につながったという好循環ですね。

【小川】はい。当社もまったく同じ過程を経験しました。子育てをしながら働く女性社員が増えた後、男性社員が自然と「困ったら人に頼ってもいいんだ」「互いに助け合えばいいんだ」という考え方になっていったのです。今は、誰もが自分らしく働ける会社になったと思っています。

【白河】チームの良い関係性が育つと、ギスギス職場からワクワク職場に変わり、業績も伸びるという成功の好循環モデルがありますが、まさにお手本のようです。今後、ノキオをどんな会社にしていきたいとお考えですか?

【小川】事業を通じて社会貢献できる会社、メンバーがそれをしっかり実感できる会社にしたいと思っています。働き方については、ノキオスタイルの定義である「自分たちの状況、ステージ、規模、課題に合わせて変幻自在に変えられるワークスタイル」を引き続き実践していきます。組織や事業内容、社員の状況などが変わったときも、それに合わせて柔軟に働き方を変えられる。そんな組織を目指していきたいですね。

【白河】最近の女子学生の就活への軸も両立支援だけでなく「社会貢献」というポイントが出てきています。女性活躍を推進する上で突破口になるようなお話ですね。同質性が高い環境のままではイノベーションもなかなか起きません。女性人材が増えることで会社が変わり、その変化が成長につながっていく。このことを多くの経営者に知ってもらいたいと思いました。どうもありがとうございました。

構成=辻村洋子

小川 健三(おがわ・けんぞう)
NOKIOO 代表取締役

1977年、静岡県生まれ。2001年に神戸大学を卒業。NECにて官庁向けシステム構築・運用に対するシステムソリューション営業に携わり、2006年に静岡・浜松にUターン。IT系・WEB系企業勤務を経て、2011年にNOKIOOを創業。地方から成長するベンチャー企業づくりにチャレンジしている。

白河 桃子(しらかわ・とうこ)
相模女子大学大学院特任教授、女性活躍ジャーナリスト

1961年生まれ。「働き方改革実現会議」など政府の政策策定に参画。婚活、妊活の提唱者。著書に『働かないおじさんが御社をダメにする』(PHP研究所)など多数。