ブラザーペナルティは存在する

以上のデンマークやアメリカの研究結果から明らかなとおり、「長女・弟」の場合では、伝統的な性別役割分業意識を持ちやすく、その考えに沿った学業・職業選択・家族形成を行いやすいと言えるでしょう。

子どもの性別は親でもコントロールできないぶん、この結果はショッキングです。

このような効果の負の側面は、「Brother penalty(ブラザーペナルティ)」と呼ばれています。少なくともデンマークやアメリカには「ブラザーペナルティ」が存在すると言えます。

ただし、その影響は必ずしも大きいとは言えません。

おそらく、この背景にはデンマークやアメリカでは伝統的な性別役割分業意識が相対的に緩やかであるという点が影響していると考えられます。

この点に関して、日本では伝統的な性別役割分業意識が色濃く残っているため、ブラザーペナルティの影響がより強くなっている可能性があります。

ただ、残念ながらまだ分析例はなく、今後の研究が期待されます。

佐藤 一磨(さとう・かずま)
拓殖大学政経学部准教授

1982年生まれ。慶応義塾大学商学部、同大学院商学研究科博士課程単位取得退学。博士(商学)。専門は労働経済学・家族の経済学。近年の主な研究成果として、(1)Relationship between marital status and body mass index in Japan. Rev Econ Household (2020). (2)Unhappy and Happy Obesity: A Comparative Study on the United States and China. J Happiness Stud 22, 1259–1285 (2021)、(3)Does marriage improve subjective health in Japan?. JER 71, 247–286 (2020)がある。