おかんが幸せならいい
母は大阪・阿倍野の生まれの大阪人。私には“お母さん”より“おかん”がしっくりきます。1番の味方で大切な人ですが、この世で1番イラつく相手でもあります。愛情いっぱいでアイディアマンなのはいいけれど、周囲のことを考えずに突っ走る思い込みの激しいところがあり、この傾向は年齢を重ねるごとに悪化しているような気がするんです(笑)。
うちのおかんは、子離れできてないのか関わりたがるのです。「何か手伝うことないかぁ?」と。何もないと言うのも可哀想なので、仕事が忙しいときにおかんに洗濯を頼み、帰宅したら、あちこちのドアノブにパンツがかかっていました。絶句です。急いで電話したら「このほうが早く乾くから」って……乾燥機があるのに。自分が思ったことを実践してしまうんですね。おかんの話はエッセイにも書いているのでノブにかかっていた取り忘れたパンツを発見した友人は笑ってくれましたが、私は死ぬほど恥ずかしい。
ほかにも冬、暖房代がもったいないと、おかんは部屋で私のスキーウエアを勝手に着て暮らしていたことがありました。しかも袖を切って自分流にアレンジまでして……もう使えない。生活費も光熱費も渡してあるのに、どうして暖房もつけないのか、もはやナゾ。怒りすら覚えました(笑)。悩んだ末「おかんが幸せならいい」と割り切り、こうしたほうがいいのに、とヤキモキするのをやめました。