私が7年勤めた会社を辞めると言ったとき「これからどうやって生きていくん?」と泣いてました(笑)。でも、最後は「エリーちゃんのやりたいようにやり、生きたいように生き!」と応援してくれた。わが子を信じる強いところがある人なんです。小学校でいじめられていたときも、家に泣いて帰ると「いじめっ子はいじめる対象は誰でもいいんや。エリーちゃんがたまたま選ばれただけ、自分が悪いと思わんとき」と元気づけてくれて。
「可哀想に」とともに落ち込まずに、どう言われたか聞き、こう言い返せなど、知恵を授けてくれました。また1人っ子でケンカ慣れしていない私を鍛えようといきなり私をたたき「悔しかったらたたき返しぃ」と言いながら逃げるというおかん流のトレーニングをふっかけてきたことも(笑)。「お母さんは学校に行けへんから」と応援弁当をつくってくれたこともありました。巨大な保温ジャーに入っていたりして、かえっていじめのネタになって……一生懸命にやってくれるんですが的外れなことも多く(笑)。それでも、いつもおかんが味方でいてくれて、何があっても自分は1人じゃないと思えたことで追い詰められなかったのだと思います。
クリエイティブマッスルを鍛え、ゲーム感覚で乗り切る親子関係
「エリーちゃんと過ごすことだけが幸せや」と言い切るおかんですが、私の幸せを願うなら自立してほしいのが本音。そこで私に頼りすぎずほどよい距離を保つために、傷つけずに言うべきことを言う工夫をしています。
難しい人間関係にはクリエイティブな発想の転換が役に立ちますね。たとえば、おかんがさびしくないように話を聞くことは大事。ただし、こちらのストレスにならないようにすることが重要です。忙しい仕事の合間だったら「キヌサヤの筋を取る間だけあなたの話を聞きます」と制限時間を設けて相手をする。頼んでもいないのにコンビニのお弁当を大量に買ってこられて困ったときも「買ってこないで!」と言うと「エリーちゃんは私のことが嫌いなんや! 全部捨てる!」と激高してしまうので、「頼む! 納豆を買ってほしい!」と別の物を先回りしてお願いしました。
お願いを聞き入れてくれたら大喜びしてみせる。“弁当は×、納豆は○”というように、思い込みの消去と書き換えをします。やりとりのコツは子どもと遊ぶようにわかりやすくゲーム感覚で軽く構えること。親子でもよい関係を続けるにはトレーニングが必要だし、日頃からクリエイティブマッスルを鍛えておいて、ユーモアとアイディアで対応できればお互いイライラせずにやっていけると思います。