バカバカしい苦労を次の世代にはさせたくない

——会社組織の中でもシスターフッドは必要とされているものの、たとえば、女性管理職が「私たちの若い頃は大変だった」と若手にきつく当たったり、時短を取る同僚を妬んだりなど、女性同士いがみ合ってしまいがちな現状があると聞いています。道先生たちのように、女同士で支え合える関係を築くためには何が必要だと思いますか?

【柚木】皆さん、もう十分よくやっていると思いますよ。余裕がなくて同性の手を取れないのは、もうその女性たち自身のせいではないですよね。

「私たちの失敗を、次世代が再び犯さないように」という道先生たちのように、次世代のことを考えてみるといいかもしれません。今が手一杯だという人も、次世代へと視点を向けた瞬間、実はまだ自分にできることがたくさんあると気づくと思うんです。

道先生にも欠点はたくさんあるし、どの偉人もしくじっている。私は津田梅子さんのことをすごいパイオニアだと思っていますが、当時の意欲に燃えた若い女性からすると、優秀な学生にしか興味がないエリート主義者という見られ方をしていた。でも、こうして100年後から振り返ってみると、皆、目指した方向は同じだったと思うのです。誰1人が欠けても、今に続く道はなかった。

仕事でもプライベートでも今がどん詰まりだと感じる人は、過去のことを調べてみたり、次世代のことを考えてみたりするといいのではないでしょうか。少なくとも「自分が経験したバカバカしい苦労を次の世代にはさせたくない」という視点があるだけで、職場での同性との関係も変わっていくと思います。

——たとえば子供がいなくて次世代のことを親身に考えられないという場合でも、道先生のように、やり方はいろいろあるのだと感じました。