理不尽なクレームをつける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」と誤解されることなく不満を伝えるにはどうすればいいでしょうか。精神科医の井上智介さんは「こちらの主張をしっかり伝えるには4つのステップを踏むことが大切」といいます――。
怒りに満ちて好戦的な男性
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怒りやイライラは悪いことではない

確かに、最近は「カスハラ」や「モンペ(モンスターペアレント)」といった言葉を見聞きすることが増えています。一方で、店や学校に対して言いたいことがあっても、ぐっとこらえる人は多いですね。怒りを感じているのに、それを表現できない。うまく怒れない人たちが増えています。

そもそも、うまく怒れない人には3つのタイプがあります。1つ目は、怒ったりイライラしたりするのを、やってはいけないことだと思っている人、2つ目は、怒っていること、イライラしていることが、相手に伝わると嫌われるのではないかと恐れている人。3つ目は、2つ目の延長になりますが、みんなから好かれたくて、怒ること自体に抵抗がある人です。

ただ、自分の中に起きた怒りやイライラをおさえつけても、ストレスを抱えてしまい、悪くすると、子どもや部下など、自分より弱い立場の人にイライラを向けてしまう可能性もあります。

まず知っておいてほしいのは、怒ったりイライラしてしまうこと自体は悪いことではないということ。おさえつける必要もありません。

問題は伝え方です。ヒステリックになったり、高圧的になったりすると、対人関係のトラブルになっていきますから、表現の仕方は工夫が必要です。