女性が少ないのは女性のせいなのか
これについて自民党の甘利明幹事長は「応募してくださらない限りは選びようがない」と、女性候補者が少ない理由を、女性自身が手をあげないところにあるとの認識を示した。
他党と比べて女性候補者の比率が桁違いに低い原因を、女性に求めるのは果たして適切だろうか。優秀な女性が手を挙げられない原因を分析し、それを乗り越えられるようにサポートするのが国民を代表する議員を輩出する政党の役割ではなかろうか。
政治学の研究によると、誰が、どのような方法で候補者を選定するのか、それが、どのような候補者が選ばれるのかに大きな影響を与える。つまり候補者の資格や望ましい候補者像は、選ぶ側の考えによって左右されるのである。
男性政治家は、男性を選ぶ傾向
男性の政治家たちは、自分と似たような候補者を適切な候補者と見なす傾向があり、男性のネットワークから候補者を探そうとする。従来型男性議員が既に「政治家」のモデルとして政党関係者の意識に刻み込まれており、女性を候補者として選ぶことに意識的、無意識的な抵抗があるのである。
自民党のように女性議員がほとんどいない地方の県議会議員らが候補者を選ぶ場合には、そのジェンダーバイアスはなおいっそう根強い障壁となっている可能性がある。それを是正するためには、候補者選定過程に選挙区住民が参加するか、候補者選定委員会における女性の比率を決めるなど、候補者選定方法を改めて、同じ属性の人たちが閉鎖的に候補者を決めないようにすることが大事である。
もちろんそれは簡単ではない。自民党は、現職議員を優先的に公認候補者とするルールを持っており、それだけ現職議員に圧倒的に有利である。
現職議員が多く、その大半が男性議員であるため、候補者選定のルール変更には反対が強いだろう。しかし、現行制度の枠の中でも新人候補に女性を優先的に登用することは可能である。例えば、新人候補の男女比率を半々にすることを予め目標に設定して、女性候補者を、現職議員が引退する選挙区や比例ブロックの上位、あるいは比例単独候補者にすることは今すぐできることだ。
しかし、今回自民党の新人比例代表候補者36人の中、女性は6人のみ、小選挙区の場合はさらに少なく、35人の新人候補者のうち女性はたった3人しかいない。自民党が勝利を収めるならば、現職男性議員の議席独占はいつまでも続くことになるだろう。