当日誘われた場合には、迷いを見せない

もし、仕事終わりに「これから軽く行かない?」と当日に誘われたとき、突然だと、「え、今日ですか……えっと……」と、どう断ろうか、まごついてしまうことがあります。しかし、ここで断る理由を探す様子を見せてしまっては、いい印象は与えません。

そこで、慌てて断るのではなく、おすすめなのが断る前に会話を挟む方法です。

例えば、「これから軽く行かない?」と誘われたら、オウム返しで「これから軽くですか」と明るくあいづちをうちます。そして、「そうですか、お誘いありがとうございます。せっかくですが」と丁寧に感謝とクッション言葉を入れます。それから、「すみません。今日、予定があるんです」「家族と約束があるんです。また誘ってください」。

「最近、体調不調で、お酒控えているんです。申し訳ございません。ぜひランチいきましょう」などと、落ち着いてお断りの意思を伝えましょう。

たかが飲み会、されど飲み会

職場で一目置かれるビジネスパーソンは単に仕事の能力が高いだけでなく、ビジネスマナーを心得つつ、言いにくいことでも周りに気持ちよく伝えるという印象の人が多いでしょう。

「智に働けば角が立つ 情に棹させば流される 意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」と文豪、夏目漱石も記しています。仕事を円滑に進めるためには、人づきあいを上手にとることも必要。たかが飲み会の断り方かもしれませんが、周りを嫌な気分にさせずに、自分の意思を伝える「断り方」も大切です。無理して飲み会に参加してストレスをため込まないよう、上手な伝え方を活用しましょう。

阿隅 和美(あすみ・かずみ)
WACHIKAコミュニケーションズ代表

青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わる。アナウンサー名は瓶子和美。現在は、TV現場で培った技術を活かし、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。著書に『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)、『仕事ができる人の話し方』(青春出版社)があり台湾でも翻訳されている。ホームページ