長時間労働の原因は?

コンピューターをはじめとするテクノロジーの進化によって、労働生産性はものすごく上がっています。一部の研究によると、本当に必要な顧客や市場、社会の価値につながる仕事だけにすると、労働時間は週に12~15時間で済むことが明らかになっています。現在、週に40~50時間も働いているとしたら、半分以上を不必要なことに費やしていることになるのです。

時計が星屑になっていくイメージ
写真=iStock.com/INDU BACHKHETI
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本来なら短時間労働で済むのに、なぜ長時間労働のままなのか。それは、雇用形態が旧態依然として、変わっていないせいです。

10人中9人が「長時間労働を頑張る怠け者」

雇用形態の問題なら、被雇用者はどうすることもできない、と言う人が多いと思いますが、私たち一人ひとりが賃金は時間ベースで払われるものではない、と考え方を改めなければ、変わるものも変わりません。女性に多い仕事と家事の両立の悩みも解決せず、男性の家事や育児参加も進みません。男女のどちらかが必ず負担を負う構図から抜け出すこともできません。抜け出すには、どうやったら短時間労働で十分な報酬につなげられるか、ということを真剣に考えなければならないのです。

ところが、これについて真剣に考えている人は、10人に1人もいないと私は感じています。確かに、短時間労働で十分な報酬を得られる仕事の供給量は多くありませんが、どうやったら抜きん出ることができるのかを考えなければ何も変わりません。私は、長時間労働を疑問なく行う人たちのことを、かつてその一人だった自分への揶揄も含めて、「長時間労働を頑張る怠け者」と呼んでいます。