家族にも他人のように接する

では、人はなぜ家族に対してイライラしてしまうのでしょうか。

私たちは初めて会う人や好きな人には、丁寧に接しますが、ある程度関係性が安定したら、接し方が雑になります。結婚して家族になったら、ますます雑になっていく。もしかするといちばん雑に扱っているのは、自分を育ててくれた親かもしれません。

両足院の枯山水庭園
撮影=Hiroshi Homma

しかし、いちばん丁寧に接するべきなのは、身近な人です。つながりが深い人と深く結びつき、そこをベースに幸せを広げていけば、外の人との関係もぶれずに安定するからです。

家族を雑に扱ってしまうのは、家族だと「わかってくれて当たり前」「気持ちを察してくれて当たり前」と、「当たり前」という気持ちがあるからでしょうね。しかし、たとえ親子であっても夫婦であっても、相手は別人格。他人と同じように接することこそ当たり前です。

100%努力をする姿勢を見せる

特に夫婦間においては「あそこの家はだんなさんが家事をしてくれている」「うちは全然やってくれない」と、よその家と比較しがちです。ただ隣の芝生は青く見えるもので、もしかすると、それだけの関係性ができたのは、奥さんがすごく丁寧にだんなさんに接して、コミュニケーションを重ねてきたからかもしれません。

ですから、いい関係をつくりたいなら、やるべきことは一つ。コミュニケーションを丁寧にするということです。

木に触れる
撮影=Hiroshi Homma

小さなプライドがじゃまして、向こうがやってくれたらこっちがやるという態度では、うまくいく可能性は下がるだけです。自分が変わっても相手は変わらないかもしれませんが、まずは自分が変わらないと、相手の変わる余地がありません。「他の家族を見てみろ」「あそこのご主人を見習いなさい」と言ったところで、変わる人はいないでしょう。

反対に「あなたのことを本当に大切に思うから、自分も行動を変えていく努力をするし、それでも協力してほしい部分があるから話を聞いてもらってもいい?」と言われて耳をふさぐ人はいないのではないでしょうか。

誠意をもって頼むときは頼む、私もあなたに対して100%努力するという姿勢を見せる。それで半分ぐらい伝わればよいほうでしょうね。