「休まないのがいいことだ」という価値観がコロナ収束を遅らせる

考えてみれば会社も同様ではないでしょうか。発熱しても出勤することが良いことだという組織文化がはびこる会社では、ちょっと具合が悪くても休めず、デルタ株感染症予防のためにテレワークを導入することなど取り組みもしないのではないでしょうか。

テレワークが進まない日本企業の実態は、そうした「休めない」日本を象徴しているのではないでしょうか。

しかし、デルタ株収束のために積極的に「休んでもいい」ことを認める学校・企業を増やす場合と、いまのまま「休めない」学校・企業を放置することと、どちらが、デルタ株収束を早めることになるでしょうか?

計量分析を専門とする研究者でなくとも、予測はつくのでないでしょうか?

コロナ禍で見えた日本の弱点

このまま「学校を休めない」「会社を休めない」日本のままでは、私たちはいつまでもデルタ株まん延と、医療崩壊の中を生きることになる、そんな未来図も描けてしまいます。

日本の学校文化・企業文化と同調圧力の中で、「休まないのがいいことだ」という部分最適にいまだにこだわってしまっている大人が多いことが、いまの日本の弱点だと私自身は考えています。それは、第5波収束という全体最適の実現を遅らせるからです。

家族にも友達にも会えない、外出することもままならない、そんな日本の状況を早く終わらせたければ、実は学校も会社も「休んでもいい」「休むのがあたりまえ」にしていくことが、大切ではないでしょうか。

それは、デルタ株にも、デルタ株以降にさらに深刻なウイルスや感染症が出現した場合にも、私たちが柔軟に対応し、子どもも大人もより多くの人が生き残ることができるという意味で、強い社会をつくることになるはずだと考えます。