手作りにこだわるなら、こだわる側が作ればいい

外で働いてきて、帰ってくるとすぐ夕食の支度。そうした毎日に疲れている女性は多い。市販の総菜や冷凍食品などの加工食品、ミールキットは、そもそも忙しい女性たちのお助けアイテムとして誕生した。だから利用はしていい。

もし、市販の総菜を家族が嫌がるとすれば、その理由をきちんと確認し対策を考えよう。

味が合わない場合は、別の商品を試すのもいい。また、炒め物なら他の野菜などを炒めて加え、味を薄めるといったリメイクの方法もある。平野レミは、『家族の味』(ポプラ社)で、コンビニのおでんを家にストックしてある出汁で煮直したことがある、と書いている。

しかし、リメイクはいずれもひと手間かかるため、疲れ切った人にはあまり向かない。リメイクしにくい総菜もある。総菜を買うのではなく、仕上げ調理の工程が組み込まれていて味をカスタマイズしやすい、ミールキットや冷凍食品に切り替えたほうがいいかもしれない。

仕上げ調理もつらいほど料理がおっくうなら、家族に相談して料理当番を交替してもらったほうがいいのではないか。きちんと話し合えば、問題解決の方法が見つかるかもしれない。手作りにこだわるなら、疲れ切った人に押しつけず自分で作るべきなのだ。

もしパートナーに料理の経験がなかったとしても、今はインターネットでいくらでもレシピを検索できる。今は子ども向けを含め、初心者向けのレシピ本もたくさん出ている。料理動画など分かりやすいレシピ情報はインターネット上にも多い。また、余裕があるときに、家族にも料理を教えていくとよいのではないか。

そのまま出されたくない人は「手作り」に幻想を持っていないか

買ってきた総菜を器に移し替えるかどうかの是非は別の問題だ。刺身パックなどそのまま出すことを想定して盛り付けを工夫し、売られている商品もある。しかし、是非はその人や家族の感覚の問題なので、実は良し悪しを第三者には決められない。プラスチックの容器が苦手、という人もいるだろう。これも家族で話し合うことが必要である。

一つだけ気になるのは、そのまま出すのは気が引けるという人、出されたくないという人の中には、手作り料理に幻想がある人もいると思われることだ。買ってきたものを出されるのがどうしても嫌だ、という人も同様である。