子宮頸がんは検診+HPVワクチン接種で

一方、子宮「頸」がん検診は、体がん検診と比べて侵襲度が低く、定期的に受けることで死亡率を最大80%まで下げることが証明されています。つまり、意味のある検診なのです。

子宮頸がんがヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因で発症することは、広く知られるようになってきました。よくある誤解は「経験人数が多いから感染する」というもので、これは危険な間違いです。実際は、初めてのセックスでもHPVに感染する可能性があり、一度でもセックスを経験した女性の50〜80%はHPVに感染していると考えられます。

子宮頸がん検診の対象年齢は20歳以上、2年おきですが、セックスを経験した年齢によっては、10代でも個別に子宮頸がんの検査を受けてほしいですね。逆にセックスの経験がなければ検診を受ける必要はありません。ちなみに、子宮頸がん検診の対象年齢が20歳に引き下げられたのは2004年のことで、それまでは30歳以上でした。現実を考えると笑えない事実です。

自治体によってはHPVに感染しているか否かを調べるHPV-DNA検診をオプションとしているところもありますが、逆に「擬陽性」率が上昇するので、あまり意味がある選択肢とは言えません。むしろ、普通の子宮頸がん検診をきちんと定期的に受けることが大切です。

HPVワクチンは何歳まで有効か

また子宮頸がんに関してはやはり、HPVワクチンの接種がキーです。HPVワクチンはすでに感染したウイルスを排除する作用はありませんが、ハイリスクHPVの感染を防ぐ効果があります。2021年7月現在、HPVワクチンを無料で接種できるのは小学校6年生から高校1年生までの女性です。悪性度の高いハイリスクHPVに感染すると5年ほどでがんに進行する可能性があるので、セックスを経験する前の接種が理想的です。

ただし、定期接種の対象年齢を過ぎ、すでにセックスの経験があったとしても、HPVワクチン接種をする意味は十分にあります。一人のひとがハイリスクHPVに感染し続けている可能性は低く、ウイルスの90%は感染後に自然に体外に排出されるからです。もちろん、その後にHPVに「再」感染する可能性は常にあるため、排出後の「空白期間」にワクチンを接種することで、HPV感染と発がんリスクを抑える効果が期待できます。

若い年齢ほど予防効果が高いので、できれば定期接種の年齢のうちの接種をお勧めしますが、定期接種の年齢を過ぎても45歳くらいまでは一定の予防効果が確認されています。任意接種の場合は4価の場合総額で5万〜6万円ほどの費用がかかるので、家族や医師と相談しながら接種を考えてみてください。